パティシエエスコヤマ研修旅行記2016

Vol.8 タイトル 「オーシャンパレス」にて WRITER:中村 和貴

こんにちは。研修3日目・5月13日のシェフとのディナーのレポートを書かせていただきます。
マカロン製造担当の中村和貴です。
この日、小山シェフにご招待していただいたレストランは、ホーチミンの中心部にある香港系中華料理店 「オーシャンパレス」です。
香港から仕入れた食材や調味料を使って、香港人シェフが腕によりをかけて作る料理はどれも本場の味!
休日は約600席が満席になるほどの大人気レストランです。

メンバーは小山シェフとバウムクーヘン担当の坂本さん、小山ぷりん担当の桂川さん、私の4人です。
私はエスコヤマで働いて4年目になりますが、シェフと少人数でのお食事の機会は初めてでしたので、 楽しみな気持ちと緊張が半分ずつありました。
我々の緊張を察してくださったのか、レストランまでの道中、シェフは冗談を交えた笑い話をしてくださり、 そのお蔭で車内は笑いに包まれました。

さて、到着するといきなり大きな玄関に圧倒されます。

中へ入ると、広い空間に大きなシャンデリア、そして凄い人数のお客様。

きっと厨房は戦場になっているだろうな.....と想像してしまいました。

メニューを一通り見て、「全部食べたいなぁ」とおっしゃるシェフ。
私達もメニューの写真を見て、美味しそうな品々に「おぉー!」と思わず声が漏れます。

メニューは漢字なので、どんなものなのか、なんとなくですがイメージがつきます。

メニューの中からアラカルトで9品注文しました。
まだまだ気になるものがあり、メニューを見ていると店員さんから「ケッコウオオイデスヨ」と心配されてしまいました。

シェフがセレクトしてくださったアルザスのリースリングで乾杯!
キリッとした酸味と、果実味もあり、繊細な味わいで中華にぴったりでした

注文からしばらくすると、1品目の北京ダックが到着しました。
流石は中華料理!料理の出てくるスピードがとても早い!
まるであらかじめ準備していたかのようです!

.....と思ったらこれは隣のテーブルのものでした。

しかしすぐさま、我々の北京ダックも到着。

目の前で手際よく切り分けてもらえます。

私は初めて北京ダックを食べました。もっと濃い味付けだと思っていましたが、皮の旨味をそのままにシンプルな味付けで、一緒に巻く白ネギとの相性も抜群でとてもおいしかったです。
甜麺醤とXO醤が添えてあり、甜麺醤と食べると八丁味噌に似た、甘辛く食欲をそそる味でした。
XO醤と食べると、北京ダック本来の旨味に魚介の旨味も加わり、その二つが喧嘩することなく調和した味になりました。見た目のインパクトと食べ方の工夫、食べる人を飽きさせない一品だと思いました。

さて、店員さんの手際の良さに見とれていると2品目のピータン豆腐が運ばれてきました。

シェフはピータンが大好物だとのことで、「初めに美味しいものを食べることが出来たら絶対にピータンは病みつきになる!」。
私はピータンを食べるのが初めてでしたので、恐る恐る口に運びました。
口の中に熟成された旨味が広がりとっても美味しく、3人ともピータンの虜になってしまいました。
シェフも「このピータンは旨い!」と喜ばれていました

さて、その間にも次々に料理が運ばれてきます。

海老に卵黄のソースを絡ませたもの。
全く辛味はなく、卵黄のソースが少しザラっとした舌触りでした。パイナップルの甘味と酸味が卵黄のクリーミーさとマッチしていて美味しかったです。

蟹のスープ。メニューを見ていると、「蟹がたっぷり入ったスープ」を想像していたのですが、実際に運ばれてきたものは、なんと野菜たっぷり!キノコの旨味と蟹の旨味の相乗効果によって抜群に美味しく感じられました。

アスパラガスのあんかけ。
とてもあっさりした味付けで、素材の味をしっかり感じることが出来ました。

手羽先と手羽元。
我々にもなじみ深いこちらの品ですが、いつも食べるイメージでかぶりつくと、とてもエスニックな風味が口に広がりました。ナンプラーにつけて、下味を付けているのではないかと思います。香り高く、とても美味しかったです。

牛肉の炒め物。お肉がとてもやわらかく、塩とブラックペッパーのシンプルな味付けで、白ご飯があれば何杯でもいけそうでした。
お肉はサイコロステーキのようにごろっとしていて、結構厚みがありながらも柔らかく、ジューシーでした。醤油ベースの味付に、ブラックペッパーのきりっとした香りがよく効いていて重厚な肉の風味がしっかりと感じられる一品でした。

北京ダックの身の部分を使った炒飯。
本来匂いがきつく処分されることの多い身の部分ですが、ここでは身も無駄なく使用するそうで、焼きそばか炒飯をチョイス出来ました。我々は炒飯にしてもらいました。気になっていた肉の臭みはほとんどなく、とてもおいしかったです

海老をマンダリンソースで絡めたもの。
マンダリンソースとは、柑橘系の果汁と砂糖、醤油を煮詰めたソースです。
柑橘系の香りと海老はとても相性が良く、そして添えてある胡桃のキャラメリゼ(ピータン豆腐や前の海老料理でも出てきました)と一緒に食べると更にそれがアクセントとなりとてもおいしかったです。

蟹の手と魚のすり身のコロッケ。
蟹の手のインパクトが強かったので、ぎっしり蟹が入っているかと想像しましたが、ほぼ魚のすり身でした。とてもプリプリした食感でした。
横に添えられたソースは、ケチャップに似た味でしたが、若干酸味が強く、辛くないタバスコのような味でした。油ものとの相性が良いソースでした。

豚のスペアリブ。
私たちもお腹が膨れ、若干苦しくなりつつありましたが、迫力のある大きな骨付き肉に思わず唾を飲んでしまいました!
ソースは甘辛い醤油ベースの味で、脂身の多いスペアリブの脂っこさを上手く調和してくれていました。
噛めば噛むほど旨味が溢れ、食べ終えたときにはお腹も心も満たされ、幸せな気持ちになりました

気付けば、途中で追加オーダーをして計11品。
ワインも2本開いていました。

シェフも「お前ら良く食べるなぁー!」と笑っていらっしゃいました。

お食事をしながら今後のエスコヤマについて、我々20代が責任を持っていくことの重要性や、世代交代を見据えた考え方など、今後の働き方や生き方を鼓舞していただきとても熱い気持ちになりました。

そして「20代のスタッフともっともっと話がしたいから、是非積極的にお食事に誘って欲しい」とシェフの方から言っていただきました。今回はこの3人でしたが他にもこの想いを共有しなければいけない人達とまたシェフとお食事に行きたい!と思いました。

とても贅沢な夜を過ごさせていただきました。

拙い文章ではありましたが、少しでも皆様の中に「素晴らしい夜だったのだなぁ」という想像を駆り立てることが出来ていたら幸いです。

以上で3日目の夜「オーシャンパレス」でのディナーのレポートを終わります。