パティシエエスコヤマ研修旅行記2017

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Vol.12 5月14日 5日目:ナチュラルソープ ファーム WRITER:長野 裕

5月14日。研修5日目「ナチュラルソープファーム」のレポートをさせていただきます。商品開発、お菓子教室担当の長野裕と申します。

昨日よりオワフ島からハワイ島へ研修先を移動し、今朝の「キラウエア ハレマウマウ火口」の見学に続き、島の西側コナの町の郊外にあります「ナチュラルソープファーム」を訪問させていただきました。
ここは研修2日目のオワフ島カイルアにあるMadre(マドレ)チョコレートの原料にもなっているカカオを栽培している農園です。

Madreチョコレートは、「できるだけ地元産の素材を取り入れる」というモットーのもと、ハワイ島ハマクア産のカカオを使用し、オアフ島でチョコレートを生産するメイド・イン・ハワイな商品を展開しています。ハワイの気候が育てるカカオはフルーティーで独特な香りが立ち、他の産地とはひと味違うと言われていて、お店の方にオススメを伺うと、写真のココナッツミルク&キャラメライズド ジンジャーを薦めてくださいました。滑らかでクリーミーなココナッツミルクの風味と刻まれたジンジャーのプツプツした歯ごたえがマッチした、個性的な味です。
Madreチョコレートは、国際的なチョコレートコンテストでも賞を獲得するほどの実力があり、バレンタインの時期には関西の百貨店でも販売されています。

ここナチュラルソープファームは、1930年代、日本からハワイに移住した田中さんが採石場として使っていた土地を、2003年、今の農園主であるグレッグさんが、5エーカー(1エーカーが約63m×63m、約1224坪)の土地を購入し、さまざまな植物を自分で植えて農園にしたのだそうです。その頃はまだ細かったそうです(笑) チョコレートとショートブレッドのおかげでこんな感じに。

まずはニワトリに餌をあげましょう!と、グレッグさんがパンパンと手を叩くと沢山のニワトリがやってきました。

グレッグさんは、手を噛まれながら餌をあげていました。
一部のスタッフは、「お家の庭で、ニワトリを飼うのもありだなぁ」と話していました。
また、ハワイでは、野ニワトリがあたりまえのように歩き回っていたりします。日常にオーガニック文化が浸透している地域ならではの光景なのかな、と感じました。

この農園では、およそ2000本の木が栽培されています。一番多く栽培されているのは、もちろんカカオですが、その他、コナコーヒー、柑橘類、パパイヤ、マンゴー、トロピカルフルーツ、バナナ、アボカドなどを育てていらっしゃるそうです。

グレッグさんの栽培方法はあくまでも自然な方法を選択されており、農園のメンテナンスをしてくれる方や庭師の友人から枝や葉を分けてもらい農園にまきます。
 本来であれば、害虫対策として科学的な薬を使いますが、先述のニワトリたちが活躍してくれるのです。
彼らは害虫を食べてくれるだけではなく、足で土壌を引っかいて耕してくれるため、枝や葉が細かくなりやがて堆肥となります。
グレッグさんの農園では8年間肥料をまいておらず、最初は1-3インチ(約2.5-7.5センチ)だった土壌も今では30センチ近い豊かな土壌になっているそうです。

そしてこの農園は、ハワイ大学と大阪の大学の植物学のチームが共同でカカオのDNAを研究されています。グレッグさんの農場で栽培されているカカオの品種は、6年前に「アッパーアマゾントリニタリオフォラステロ」という長い名前で登録されており、その他、1-3%のカカオに関しては未だ判明しておらず、DNAのルーツがわからないそうです。

農園をドンドン奥に進んで行きましょう。すると、途中でハーブを見つけました。
ローズマリーは虫除けや、膿んだ傷口に効果があるそうです。また、ハチに刺された時には、揉むようにオイルを塗ると良いとか。

そしてコナコーヒーを試飲をさせていただいたのち、石鹸のお話をしていただきました。

ここでは、ナチュラルソープの製造もされていて、土壌りからこだわり、石鹸のベースになる素材は、農園で採れる植物で賄っていると教えていただきました。柑橘系やパパイヤの種は、細かく砕くと角質を取るスクラブ効果があり、また、カカオやコナコーヒーも細かく砕いて石鹸に。コーヒーの持つアンチエイジング効果と保湿が、汚れを取り除きながら潤いも与える石鹸に仕上がるそうです。

 私はこれまで、ヨーロッパ、もしくは北アメリカに行った経験しかありませんでした。
今回の研修旅行で初めてハワイに連れていっていただきました。ハワイはリゾートのイメージが強く、ワイキキなどを歩けば観光で訪れている方が沢山いらっしゃいますし、南国ならではの陽射しのもとマリンスポーツが盛んです。
 しかし、オワフ島でも島の北側に行けばカカオ農園があり、ビッグアイランドと言われるハワイ島では今でも火山活動があり、本当に自然豊かです。東側ヒロの町では毎日夕方からスコールみたいな雨が降り、朝方まで降ったと思ったら昼前には快晴になったり天気もコロコロとよく変わりました。
 シェフは、自然が大好きで、自然に触れることをとても大切にされており、そのことこそがもの創りに必要な、最も大事なことの一つだと教えていただいています。
 長年シェフのもとで働かせていただいていますが、シェフのもの創りの発想にはいつも驚かされるばかりです。
 毎年研修に連れていっていただいていますが、共に、普段なかなか触れることができない自然に触れることで、少しですがシェフの視点や考え方に近付くことができているのではないかと感じていました。
 今回の経験を含めた、これまでの経験を活かしこれからも仕事に励んでいきます。

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