いつもパティシエ エス コヤマをご利用いただきまして、誠にありがとうございます。
皆様に、エスコヤマが使用しているバニラビーンズにつきまして、現在の状況を含め、改めてこの場を借りて説明をさせていただきます。
昨年大きく報道されましたが、数年前よりマダガスカル産バニラビーンズが世界的に不足しています。原因は天災によるものです。ここ数年で価格は13倍に高騰。そこへ追い討ちをかけるように、新興国による大量買付け、という経済的な問題も起きています。それにより、エスコヤマが使用できると判断できるレベルの最高品質のマダガスカル産バニラビーンズが、ついに今年6月、日本には全く入ってこない、という状況になりました。
それに伴い、エスコヤマではマダガスカル産のバニラビーンズを使用しているアイテムの多くのレシピ変更を余儀なくされました。エスコヤマでは基本配合としてカスタードクリームにマダガスカル産のバニラビーンズを使用してきましたので、そのカスタードクリームを使用している「小山ロール」「クリームパン」「ミルフィーユ」「いたずらシュー」など、そして「小山ぷりん」も変更の対象になります。
そしてこの度、カスタードクリームからバニラビーンズを抜き、使用している砂糖を全て、シェフ小山が出会った「鹿児島県種子島産さとうきび100%の “粗糖”」に置き換えることで、「蒜山ジャージー牛乳」や「卵」といった素材の魅力を、より引き出した新たな配合のカスタードクリームを生み出すことが出来ました。小山ぷりんも、今まで使用してきたオーガニックのきび糖から、全てを“粗糖”に置き換えることで、低温殺菌牛乳が持つ、牛乳本来の甘みや旨みをいっそう引き出した新たなプレーンとしての配合を生み出すことが出来ました。
今回、バニラビーンズが使用できない、という状況に初めて直面し、「普段、あるのが当たり前だと思っていたバニラも農作物である」ということに改めて気づかされました。そして、良い意味でも、悪い意味でも、いかに私たちがバニラに頼ってきたかを考えさせられました。私たちは「洋菓子職人」ですが、素材との向き合い方は「料理人」や「寿司職人」の方々の感覚と同じです。その日その日に、それぞれの素材ごとに状態の良いものを見極めて、素材の特長を最大限に引き出したお菓子に変身させ、常に「今、私たちがお届けできる最高のお菓子」を提供していくことが私たちの仕事であり使命です。小山ロールも、小山ぷりんも、クリームパンも、また、バニラビーンズを使用していないアイテムでも考え方は同じです。元は農作物であるカカオやワイン、コーヒーなど、毎年毎年出来が違うのは当たり前です。それを、私たちはお菓子を通して皆様に、美味しさと共に伝えていきたいと思っています。
マダガスカル産の素晴らしい香味を宿したバニラビーンズを使用できないという現実がある今、私たちは、私たちに出来る最高の仕事をして、シェフ小山が「美味しい」と感じ、「皆様にもこの味を伝えたい」と思うお菓子をこれからも提供し続けていきます。
バニラビーンズの次の入荷は、3年、5年、10年先になるのか、全く予想がつきません。ですが、次に入荷できたときには、皆様と共にバニラビーンズが使用できるようになった喜びを分かち合いたいと思っています。ご理解のほど、何卒よろしくお願い申し上げます。
<すでに決定している商品切り替えスケジュール>
◆「小山ぷりん」:7月8日(土)~
◆プチガトー「我が家のプリン」:7月8日(土)~
◆小山ロール:7月27日(木)~
★カスタードクリームを使用している全商品:7月27日(木)~
決定次第、HP、Facebookなどで順次お知らせいたします。ご了承くださいませ。
2017年7月7日
株式会社パティシエ エス コヤマ