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¥2,160
30日(20℃以下)
箱サイズ:縦10×横10×高さ3.5cm
特定原材料等28品目:乳成分、くるみ、りんご、大豆
我々は産まれる前、ひとつの浮遊を体験しながら胎内期を過ごした。母のお腹の中で羊水に包まれ、重力をほとんど感じない安心感。直接的な記憶として残っているわけではないが、誰しもが本能的にその感覚を憶えているという。無意識に求め続けているのだという。
静寂のなかで鼓動が響くようなトーン、奥に確かな光を感じるインパクト。そんな4粒にCHOCOLOGYを託した。
口に含んで2~3度の咀嚼、なめらかに溶けだす瞬間、口中香、そして余韻まで。素材たちは何にも囚われず、まるで自由そのものに身を委ねるかのようにゆったりと美しく漂う。仕掛けはそれぞれに用いた「お酒」、そして素材への全く新しいアプローチが、一見不安定に思える状態や現実から切り離された夢のなかを体現した。
マリアージュの妙技によって、あの「ひとのはじまり」という浮遊空間に似た感覚へと辿り着いたのだ。
骨格を形成し、共鳴する相手を探し、五感を駆使して確かめていく。ショコラ創作の過程はまるでひとつの生命体が身体を発達させていくかのように、素材と技術をもって成長し、誕生する。
「このショコラもテーマも、僕自身の無意識の領域にある本能的欲求に導かれたのかもしれない」と、ふと思った。
さあ、SUSUMU KOYAMAʼS CHOCOLOGY 2024が贈る新たな世界「浮遊空間es」をご体験ください。
4つの扉の先に潜んだ味覚は、あなたにどんな心象をもたらすだろうか。
台湾・宜蘭県の自生花と
ウイスキーテロワールを同じくする素材の親和性
“ウイスキーの傑作” と評されるのは、蒸留所が湿潤気候に位置 するため熟成が早く進み、なめらかな味わいを持つことで知られている「カバラン ヴィーニョカスク」。そして標高 1,100mを超える高山に自生している「芳香小野菊」。台湾・宜蘭県というテロワールを同じくし、共通してフルーティー。これらの2つの素材によって、親和性の高さが心地よいマリアージュが実現した。アクセントに加えた温州みかんの甘味と酸味がさらなる相乗効果をもたらして。野菊を使ったショコラはこれで5作目となるが、また新たな一面に出会うことができた。
“奇跡のお茶”が浮遊するなかに
眩くトロピカルな存在感
南アフリカで“奇跡のお茶”と呼ばれるルイボスティーは、針葉樹のような細い葉があるマメ科の植物。落葉する時に葉が茶褐色になることから「赤い(rooi)しげみ(bos)」という現地の言葉に由来する。そんな木や土を思わせる要素を持ち合わせた芳ばしさにラム酒を注ぎ、バニラやキャラメルのような甘さとコクを強めた。さらにはシャブロネのパッションフルーツ、時間差で現れるパイナップルといった、南国フルーツの眩い酸味が存在感を放ち、立体的な味わいへと昇華。我々にとっても新鮮な感覚に、ミクソロジーの可能性が満ちた味わいにまた頷いた。
ファーストノートの奥に感じたニュアンスを
ひとつずつ再構築
「カバランヴィーニョ カスク」はNo.1で前述した通り、ファーストノートは「フルーティー」であるが、僕はその奥に阿里山烏龍茶、バイナップル、マンゴー、くるみを感じとった。その細なニュアンスを表現するにあたってひとつずつをガナッシュやプラリネへと変えて、1粒のショコラに再構築。カバランの力強いフレーバーは阿里山烏龍茶の透明感と見事に調和。さらには胡桃のプラリネが全体に香ばしさをもたらし、マンゴーはトロピカルな甘みを添え、カバランのオーク感をやわらかい印象へと浮き上がらせる。こうして複雑で奥行きのあるフレーパープロファイルが証生した。
スモーキーで刺激的な香りを
“テキーラの母”が浮遊空間へと導いて
メキシコ・オアハカ州の湿度が高い地域特性から、薪を使った煙で乾燥させられる「パッシージャ・チレデオアハカ」。スペイン・カセレス県から届いた、辛口2品種のパプリカをオーク材の煙で乾燥させた「スモークパプリカ」。それぞれの独特でスモーキーな香りを重ねて。センシティブにまとめあげる素材はマンゴーしかない、という第六感が余韻を豊かにさせた。浮遊感を醸し出すのは“テキーラの母”と呼ばれる蒸留酒「メスカル」。メキシコ原産の多肉植物、アガベ(竜舌蘭)を原材料とする香り高さで、刺激的かつガストロノミックな味わいを心地よく包み込んだ。