パティシエエスコヤマ研修旅行記2016

Vol.17 私のサロン・デュ・ショコラ WRITER:日高 理恵

こんにちは!お菓子教室担当の日高 理恵です。
先日、第22回「サロン・デュ・ショコラ パリ」に行って参りました!
出発から最終日までの様子を少しずつではございますが、紹介させていただきます。

10月25日(火)、小山シェフとカメラマンの石丸さんを含め、6名のメンバーで出発。エスコヤマのスタッフの中でも、限られたメンバーしか行く事ができない中、私の場合は今年の新年会で頂いたMVP賞の副賞として、今回、初参加させていただきました。一度は行ってみたいと密かに抱いていた望みが叶いました。
到着までの間、「本場パリのサロン・デュ・ショコラを体感できる!」と心躍る反面、現地でしっかり活躍できるだろうかという不安な気持ちもありました。
日本からパリまで飛行機で約12時間。日本との時差は通常8時間ありますが、10月29日(土)まではサマータイム期間中のため、7時間になります。そして25日の夕方、シャルルドゴール空港に到着しました。

この日の晩は、パリで大人気の一つ星レストラン〚SOLA〛に行かせていただきました。こちらは吉武さんという日本人シェフのお店です。
以前、吉武シェフの情熱大陸の放送を拝見して、すごく行きたいと思っていたので、とても嬉しかったです。
店内はお洒落で落ち着いた雰囲気。
ここでは、それぞれのお料理に合わせたワインを少しずつ頂きながら、お食事を楽しみました。
こちらのお店のバケットに添えられていたのは、タイムの香りのついたオリーブオイル。これにつけて頂くのが美味しくて、小山シェフも『シフォンケーキにつけても美味しいやろうなぁ』と仰っていました。想像しただけでも、美味しそうです。

どの料理も期待を裏切らない美味しさで、優しい味わいが印象的でした。
食事を終えた時にはすでに閉店の時間でしたが、一人また一人とパリで活躍されている日本人シェフの方々がお店に入って来られました。なんと、小山シェフが今晩SOLAに来ているという情報を聞いて、駆けつけて来られたのだそうです。
スガラボの須賀さん、クラウンバーの渥美さん、エスキスの成田さん等々蒼々たる顔ぶれで、小山シェフは凄く慕われているご様子でした。
こんな機会はめったにありません。記念に写真を一枚!
ちょうどこの時に、シェフから「サロン・デュ・ショコラ中のレポートを書いて!」と言われました。


2日目――――――
この日は、サロン・デュ・ショコラの開催3日目に行うチョコデモの為に、材料を調達。卵とバターを現地のスーパーに探しに行きました。
材料調達もスムーズに終わり少し時間ができたので、サンジェルマンデプレをほんの少し散策できました。

《散策中立ち寄ったお店》
◆PIERRE HERME PARIS//イスパハンのクロワッサンを頂きました!
ラズベリー&ライチ、ローズのコンフィチュールが入っており、中はしっとり、外はザクッとふんわりしていて絶品でした!

◆KUSUMI TEA//カラフルでお洒落なデザインの紅茶缶が目を惹きます。
DETOX TEA『SWEET LOVE』中国紅茶、ガラナ種子、ピンクペッパー等のブレンドティー。活力・消化促進。飲みやすく、落ち着く味で、私のお気に入りです!

前夜祭を翌日に控え、まだサロン・デュ・ショコラを経験した事のない私は、少し緊張気味の夜を過ごしました。
そして、前夜祭当日。
モンパルナス駅から地下鉄で5駅ほど、ポルト・ド・ヴェルサイユ駅に到着。駅を出ると、サロン・デュ・ショコラの会場である「ポルト・ド・ヴェルサイユ見本市会場」は目の前です。
大きな会場を目にして、『サロン・デュ・ショコラに来たー!』と一気に実感が沸きました。会場に着いたのはお昼頃だったので、どのお店も設営中でした。そうした光景も、私にとっては新鮮です。(これから始まるよ。という感じです。)

こちらは、私達エスコヤマの販売ブースです。
今年は、新作のボンボンショコラを16種類ご用意しました。
「金木犀×チャンチャマイヨ63%」、「ルイボスティー&赤紫蘇のプラリネ」等、ほとんどが今年のICAのアメリカ大会、ロンドンの世界大会でGOLD、SILVER、BRONZEを受賞したものです。「切干大根」や、「酒粕(1年熟成)」も大変好評でした。

そして、CHOCOLOGY 2016。
今回は「Human~coexist with nature(自然と共に)~」。発酵、熟成をテーマとした作品です。
地震、災害など人の手では、どうすることもできないものもあるが、発酵や熟成といった食文化など、数々の自然の恩恵を受けて私たちは生活をしています。こうした自然と人間との関わりを、小山シェフは今年、4種類のボンボンショコラに表現しました。
短縮バージョンでお伝えしますと、
《醤油ヌーヴォー》
3つの熟成素材。カカオ×煮切り醤油×ペドロヒメネス(シェリー酒)のマリアージュ。
《鳳凰単叢蜜桃香&マンゴー》
桃のような素晴らしい香りのする烏龍茶とマンゴーの組み合わせ。
《コーヒーチェリー(ゲイシャ)&ライチ》
ウォッシュト製法のコーヒー豆の製造過程で外された、パナマ産ゲイシャ種のコーヒーの果肉(コーヒーチェリー)の香りと、ライチの組み合わせ。
《奈良漬プラリネ》
瞬間高温高圧プレスでフレーク状にした奈良漬けとマンゴーのフリーズドライをピエモンテ産ヘーゼルナッツの自家製プラリネに混ぜ込みました。

このようなラインナップです。詳細はHPをご覧くださいませ。
そして、写真家・石丸直人さんがそれぞれのボンボンショコラから得たイメージを表現された素晴らしい写真を背景に、お客様をお出迎えしました。

今回は特別に、宝酒造さんのスパークリング清酒「澪DRY」を、ウェルカムドリンクとして振る舞いました。ボンボンショコラを食べ終えた後に、その余韻を感じながら「澪」を飲んでいただきます。小山シェフ曰く、「澪DRYなら、どのボンボンショコラとも合う」ということでしたので、私もそのように紹介させていただきました。
現地の方も美味しいと、喜んでおられました。

期間中は色々なハプニングが起こりましたが、その中でも印象的だったのが、最初に対応したフランス人のお客様との出来事です。
サロン・デュ・ショコラの期間中、私は主にチョコレートの販売を担当していました。そして初めてフランス人のお客様を対応することになった際、そのお客様が指差されたボンボンショコラをトレーにとって台の上に置いたところ、試食と間違われて食べられてしまいました。これは私の苦い思い出です。
その後は、フランス人のお客様がいらっしゃる時は、フランス語が話せるヴァンドゥーズの方に代わっていただくことにしました。しかし混みあってくるとそうは言っていられません。ジェスチャーや簡単な単語だけでも私の伝えたいことを理解していただけたときには、本当に有難く、嬉しく思いました。
ちょっとフランス語で何か話されると、言われている事が分からずお客様に迷惑をお掛けしてしまいます。その場合はフランス語が堪能な方に対応をお任せして、私は自分の出来ることを見つけながら、仕事をするようにしました。
やはり、少しでもフランス語ができた方が強いなぁと思いました。
ただ、会場にはフランス人のお客様だけではなく日本人のお客様も多くいらっしゃったので、その方々には率先してボンボンショコラのお勧めをさせていただきました。
エスコヤマの「サロン・デュ・ショコラ パリ」への出展は、2011年から連続して6回目になります。
『続けて出る事で現地の方もエスコヤマのショコラを認知してくださり、出始めの頃よりお客様が増えた。』という小山シェフ。実際に、ブースに来てくださるお客様の中でも、年に一度の出展を毎年楽しみにされている方がたくさんいらっしゃいました。

翌朝、早起きして近くのパン屋さんに走りました。

パリの街並みは、雰囲気が良くて気分が上がります!パンだけでなく、フィナンシェも美味しかったです!

SDC 3日目――――――
この日は、私にとってのメインイベント。小山シェフのチョコレート菓子実演です。
私はシェフの隣でアシスタントにつかせていただきました。

今回のメニューは「テリーヌ ドゥ ショコラ ジャポネ」。
1年熟成の酒粕を使用した“テリーヌ ドゥ ショコラ”をご紹介しました。
材料はとってもシンプルです。「チョコレートに卵を少しずつ混ぜて乳化させる」。この乳化の点さえしっかりと行えば、簡単に作れて凄く美味しいものが出来ます。
焼いたチョコレート菓子なので、溶ける心配はありません。また粉類は入っていないため、凄く口溶けの良いお菓子です。
「インターナショナル・チョコレート・アワーズ」の世界大会で金賞を受賞したボンボンショコラ「酒粕(1年熟成)」と同じ考えで、甘味と旨みを持ち合わせた1年熟成の酒粕と、赤いベリーのような華やかな酸味のあるビターチョコレート64%を合わせました。

会場には立ち見の方も合わせて300名近くのお客様が集まってくださり、大盛況に終わりました。

ここで少し会場の裏側の様子をご紹介。こんな車が数台停まっています。

こんなにオシャレな可愛い車でチョコレートが運ばれてくるなんて、素敵ですね!

こちらは、上から見た会場の風景です。

土日、祝日とお客様が非常に多く、歩くのも大変なぐらい賑わっています。

中央のステージでは毎日催しがあり、今回見られなかったのですが、チョコレートを装飾した衣装を着たモデルさんが歩くファッションショーはかなり見物です。終わった後のドレスが飾られていました。

この日の夜は、小山シェフと一緒に「クラウンバー」に行かせていただきました。
パリ1区のマレ地区にある、サーカス会場の傍に構えたお店です。
“クラウン”とは、フランス語で“ピエロ”という意味。店内の内装はサーカスやピエロにちなんだ絵などがたくさんあり、ちょっと味のあるお洒落な空間です。
常に満席の状態で、大変賑わっていました。
まず1番目のお皿は「白肝」です。
プルンと少し弾力のある柔らかい白肝が、旨みのある酢の効いたスープに浸かっていて、食欲をそそります。
めちゃくちゃ美味しいです!

この一品目で『このお店は美味しいに決まっている!』と小山シェフ。
最初から最後まで、次に運ばれる料理が楽しみでなりませんでした。

次のお料理は、豚肉と葉野菜をクレープ生地で巻いたもの。
お肉自体の味付けは薄めで、周りに散らされた“からすみ”をつけて食べると口の中で旨みが広がりました。
からすみやアンチョビは、「塩」として考えられているのです。
その料理自体、最初から味付けが完成されているのではなく、添えられたものと一緒に食べてはじめて完成する料理。
どういう意図で、添えられているのか・・・。
小山シェフと一緒にお食事をいただく時は、そういった話を聞きながら感じながら食べられるので、本当に勉強になります。

SDC 4日目――――――
サロン・デュ・ショコラも終盤。
この日のシェフのスケジュールは超過密です。
毎日開催された「徳島ゆず」とのコラボイベントに加え、PACARI社とのコラボセミナーがありました。
地下にも会場が広がっており、ここはペルーやブラジルなど、カカオの生産者の方々のお店が広がっていて、地上階とは少し違った雰囲気。
この階で行われたセミナーでは、「CHOCOLOGY2016」の一番目にくるショコラ “醤油ヌーヴォー”のクーベルチュールを、PAKARI社のビターチョコレート「TUTUIKU(トゥトゥイク)」に変えたバージョンを試食していただきました。
こちらの会場もほぼ満席で、皆さん楽しみに待っていてくださいました。

そしてセミナー終了後、小山シェフが一気に地上階に駆け上がり、メインステージの裏側へ。そこではすでに「インターナショナル・チョコレート・アワーズ」の表彰式が開かれていました。
なんと今回初めて、サロン・デュ・ショコラ パリの会場でICA世界大会の表彰式が開かれることになったのです。小山シェフは出品した32作品のうち、GOLD・SILVER・BRONZEの計24品を受賞されました。
主催者のマーティンさんから、表彰状とトロフィーを授与されました。
ステージの周りには会場のお客様が集まり、サロン・デュ・ショコラ パリで「インターナショナル・チョコレート・アワーズ」の存在感が増した、素晴らしい表彰式でした。

SDC最終日――――――
エスコヤマのショコラを、たくさんのお客様が楽しんでくださいました。
最後に私も気になったお店を少し回らせていただきました。
小山シェフと昔からお付き合いのあるブルノーさんと、一昨年の海外研修でお世話になったフランクケストナーさんの所で、日本にいるスタッフのお土産を購入しました。
写真も快く撮ってくださいました。ありがとうございました!

PACARI社の楽しくてお茶目なパメラさん。

そして、今回一緒に販売をしてくださった田中さん、木村さん。
残念ながら写真には写っていませんが、海外研修でいつもガイドを務めて下さる平野さん、ジャンマークさん。
沢山の方にお世話になりました。ありがとうございました!

最終日の夜は『abri』という日本人シェフのお店で打ち上げをしました。
こちらのお店のお料理も美味しいものばかリでした。
SORAさんとabriさんのお料理は、味の手帖でも小山シェフの連載コーナーでご紹介予定ですので、是非お楽しみに。

チームトラベルの蔵本さん、スイーツレポーター染川ちひろさんも駆けつけて下さり、最後の夜の楽しいお食事ができました。
約8日間で、小山シェフとシェフの傍で活躍している方々と時間を共有させていただき、勉強になった事がたくさんありました。貴重な経験をさせていただき、本当にありがとうございました。今後の仕事に活かしていきたいと思います。
また、エスコヤマに足を運んで下さるお客様に喜んでいただけるよう、より一層努力してエスコヤマの魅力をお届けしていきたいと思います。
最後までご高覧頂きまして有難うございました。

お菓子教室担当 日高 理恵