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1箱(4個入) ¥1,728
30日(20℃以下)
箱サイズ:縦10× 横10× 高さ3.5cm
アレルギー特定原材料7品目:乳
特定原材料に準ずる20品目:大豆
「未だ見ぬ味覚や香り・・・・・・まだまだ世界中には“知りたくなるような楽しいこと”がいっぱいある」、今年はそういうことをテーマにして、特に“香り”に注目して表現したショコラを創った。
「香り」は強い風でも吹こうものなら一瞬で消えてしまう“儚いもの”。僕の好きな昆虫の中にも、“儚さ”の代名詞のような昆虫がいる。その昆虫は一生の大半を地中で過ごし、成虫になって地上に出てからは約1週間しか生きられないと言われている。しかし、ふと虫の気持ちになって考えてみる。成虫になって過ごす一週間が一番充実していると感じているのだろうか? もしかすると、その昆虫にとっては地中で過ごす時間のほうが特別だったのかもしれない。だがその答えは、昆虫本人しか知らない。
4つの作品を一つの交響曲に例えるなら、“主題”に当たる作品が「No.3 カシスの新芽&ロマネ・コンティ(フィーヌ・ド・ブルゴーニュ)」だ。カシスという植物が一番輝いているのは、果実が実り、熟して美味しくなったときだ、と言う人が多いだろう。昨年の10月に訪問したニュイサンジョルジュのカシス農園でその思い込みは大きく覆された。農園で「これ、指で潰して嗅いでみて」と言われて嗅いだのが「カシスの新芽」。その香りは、カシスの香り、若葉のような緑の香りの中にスパイシーさもあり、とても魅力的だった。実は、ここに来る前日にディナーで入ったレストランで、ある料理にコショウのような使われ方をしていたのが、この素晴らしいポテンシャルを持つカシスの新芽を乾燥させてパウダーにした「ポワブル・カシス(カシスのコショウ)」だった。出会った時点ですでに興味が湧いていたが、農園で実際に生の香りを体験し「この香りをショコラで表現したら、きっと素晴らしい作品ができるだろう」と確信した。このNo.3のショコラは、あくまでもカシスの新芽がメインの素材であり、フルーティーさを引き出すためにカシスの果汁も入っている。さらに、これに合わせたのは、カシス農園から車で5分ほどの距離にあるという「ロマネ・コンティ」のフィーヌ。最後はテロワールに導かれ、このNo.3は完成した。
昆虫が土の中で過ごす時間も、カシスに果実が生る前の新芽の時も、どんな生き物も素材にも一瞬々々輝く瞬間があり、そこに目を向ければ未知の世界の広がりがまだまだあることを知ることになるが、だからこそもっと知りたいし、ショコラにその“一瞬の輝き”を閉じ込め、伝えたい。皆さんも味わったことのない未知の素材はカカオと出会い、食べ手の口の中ではじめてその輝きを取り戻す。そうしてこの世界にはまだまだ皆さんの知らない“Wonderful World”が広がっていることを伝えていくのが僕の使命だ。
花と葉の、華やかで奥深くに広がる香り
5日の命が最も輝く3日目の香りを閉じ込めて
2017年に出会った、台湾の宜蘭県にある標高1,100m以上の高山に自生している菊の花を丁寧に手摘みし、天日乾燥させて生まれた「芳香小野菊」。パッションフルーツやアプリコットを思わせる甘くフルーティーな香りは、今まで出会った花の中で最もインパクトがあったといえるほど豊かな香りで広がりがありました。そんな香りは特に、開花から3日目が最もルテインを豊富に含み、色合いも香りも最高潮に。その瞬間を逃さず収穫したものが手に入り、それを使って試作をしたとき、「もし葉も手に入るなら・・・・・・?」という考えが浮かび、現地に問い合わせると、「葉も良い香りがする」しかも「提供できる」という返事。葉を使えば味覚のデザインに広がりが生まれ、間違いなく素晴らしい作品になることを確信した私は、手に入れた後、一気に作品を完成させました。花の香りは、華やかでフルーティーな味わいが特長のペルー・チャンチャマイヨ産カカオのショコラ・オレ(カカオ分48%)に合わせ、葉は低気圧調理器を利用して、香りとほのかな苦味までも移し取り、同じくチャンチャマイヨのショコラ・オレと合わせました。2層にすることで花の持つ甘味と、葉が持つ苦味と甘味が3Dのように広がり、奥行きを感じる味わいになりました。
ショコラ創作が教えてくれた
赤紫蘇の固定概念を覆すポテンシャル
日本に古くからあるハーブの一種で、昔から「生薬」としても用いられてきた「紫蘇」。その中でもアントシアニンを豊富に含み、爽やかでふくらみのある香りを持つ和歌山県産の“紀州系”と言われる「赤紫蘇」を、ふくよかな香りと味わいを持つピエモンテ産ヘーゼルナッツの自家製プラリネと合わせました。今回プラリネに混ぜ込んだ赤紫蘇は、パウダーにしてそのまま混ぜ込むだけではなく、酸と反応させることで落ち着いた中に“力強さ”も感じる深い味わいの表現ができました。濃厚なイメージのあるプラリネが、赤紫蘇によってエレガントに生まれ変わる・・・・・・。花のような香りすら想起する華やかな新しい感覚のプラリネの誕生です。さらに、エスコヤマの数種類あるレシピの中から選んだ、ペルー産カカオのフルーティーな酸味を宿したショコラ・オレ(カカオ分53%)のコーティングが、いっそう赤紫蘇の風味を引き立てます。全体の中でも落ち着いた和の風情を感じる味わいは、No.1からNo.3のショコラへと繋ぐための布石。少し心を落ち着かせ、味わいの変化が描く曲線がNo.3でグンと跳ね上がってほしい・・・・・・そんな思いを込めた一品です。
新芽が秘めた成長エネルギー
ブルゴーニュのテロワールが繋いだ奇跡
2017年10月の終わりに訪れた仏・ニュイサンジョルジュの町のレストランで、料理に使われていたある素材との出会いが創作の始まりでした。その場で分かったのは、その興味をそそる素晴らしい香りの素材が“カシスの何か”であることだけ。「これは、明日訪問するカシスの生産者に聞けば分かるはず」と思い、翌日確認するとその通りでした。カシス畑の真ん中で「これだ」と、指差されたのはカシスの“新芽”。言われるがまま潰すと、カシスの香りの中にスパイシーさや若葉のような緑の香りを感じ、想像を超えた香りに衝撃を受けました。「この感動を表現したい!」と思った私は、新芽の香味を、ペルー・チャンチャマイヨ産カカオのショコラ・オレ48%と、ペルー・クスコ産カカオのショコラ・ノワール70%を合わせたガナッシュに閉じ込めました。カシス感はチャンチャマイヨが、新芽のインパクトのある味わいと香りはクスコが引き立てます。ボトムに数ミリ敷いたカシスガナッシュはベリー感を引き立てるマダガスカル産カカオのショコラ・ノワール64%と、フルーティーで華やかな香りが特長のペルー・ピウラ産カカオのショコラ・ノワール63%を合わせて。さらに、カシス農園と栽培地域を共にするロマネ・コンティの「フィーヌ・ド・ブルゴーニュ」を合わせて複雑で奥深い香りと味わいを演出しました。この奇跡ともいえるテロワールの繋がりが作品のストーリーに奥行きを持たせています。
香りと刺激が呼び起こす
メキシコに古代から根づくカカオ文化の息吹
独特な燻製香と、奥深くに甘味を宿したメキシコ産の「チリ・パッシージャ・デ・オアハカ」との出会いが生み出したショコラ。完熟して真っ赤になってから人の手によって丁寧に摘み取られたこの唐辛子は、一部ではフレッシュなまま市場に出回りますが、多くは保存のために伝統的に煙を使って乾燥させます。その燻製香と完熟した果肉ならではのフルーティーな甘味が、オアハカ最大の特長です。この独特の燻製香は、ガナッシュに使用するフルーティーで華やかな香りが特長のペルー・チャンチャマイヨ産のショコラ・オレ(カカオ分48%)のクーベルチュールと数週間同居させてじっくりと香りを移し取り、さらに低気圧調理器を使ったアンフュゼという2つの手法を用いて、辛味や奥深くにある甘味も含めてポテンシャルを最大限に引き出しました。さらに、コーティングのペルー産カカオのショコラ・オレ(カカオ分53%)が宿したフルーティーな味わいがより印象深い余韻をもたらします。ひと口目に感じるスモーキーな香り、続いて徐々にやってくる辛味、そして気がつけばチャンチャマイヨのショコラ・オレが辛味と甘味を繋ぎ、最後には心地よいバランスの味わいが口の中に広がっていきます。この一粒を味わった後に再びNo.1を味わうと、円を描くように広がるNo.4の刺激の真ん中からNo.1のオレンジ色の菊の花がパッと開いていくような光景が脳裏に浮かび、皆さんを再び「Wonderful World」へといざなってくれることでしょう。