11月も後半に入り、寒さも厳しくなってきました。
エスコヤマ本店テラスではこの季節を待っていたかのように、薪ストーブの使用が始まっています。
みなさまご存知かとは思いますが、薪ストーブは定期的に薪をくべ続けなけれは火は消えてしまいます。
そのため、火の管理を毎年新入社員が行うことになっており、担当時間を決めて1時間交代で行います。
ある日先輩スタッフから新人スタッフに向けて、薪ストーブの講習会が開かれました。
ここでは火のつけ方から管理、閉店後の薪ストーブの片付けに至るまで事細かな説明が行われました。
お庭のトピックスを書いている私自身も今年入社したばかり。
担当時間の火の管理はもちろんの事、閉店後の掃除も担当することになりました。
私がこの講習で聞いたお話は知らないことばかり。
例えば、火の管理で使う木材はクヌギやコナラ、カシなどでそれぞれ特徴が違うことです。
クヌギはヤニ(樹脂の成分)を多く含んでいるためパチパチと破裂しながら短時間よく燃え、逆にコナラやカシはヤニをあまり含まないため煙を出しながら長時間燃えます。
そのため火の様子を見ながら薪の種類や量を調節し、木によって組み方も工夫しなければいけません。
私にできるのだろうかと思っていましたが「お客様に温かさを届けようという気持ちを持って、火を次の人へ繋ぐこと」という言葉を聞いた時、考え方が変わりました。
「なるほど、ただ火の管理をするだけではなく思いやりの気持ちを繋いでいるんだ」と気付き、初めて「薪ストーブの温かさ」を知ることができました。
実際に担当時間になり薪をくべていると、繋がりを感じる出来事がたくさんありました。
お子様が「これなぁに?」と興味を持ってくれたり、ご高齢の方が「わしが若い頃には囲炉裏というのがあってな、家族でそれを囲んで話をするのが好きやった。いやぁ懐かしいなあ」とお話を聞かせて下さったり、「薪ストーブを初めて見たわ、思ったより温かくて素敵ね」と多くの人と会話を楽しむことができました。
会話のきっかけとして、またエスコヤマのお土産話として、この薪ストーブは大活躍していると改めて思いました。
閉店後の薪ストーブの掃除も大事な仕事。1日使用するだけでもガラス窓はススだらけになるため、強力な洗剤を使用して拭いた後、さらにアルコールで綺麗に拭き取るという二段階に分けて掃除を行います。
私ともう一人のスタッフで毎日行っていますが、これがなかなかひと苦労。
火が残っているため、凄まじい熱気に襲われながらガラス窓の内側を拭き取らなければいけません。
(水滴が数秒で蒸発するほどの温度です)その他にも、オブジェ全体の乾拭きや灰の掃き掃除等も行います。
慣れない頃は少し火傷をしたり、強力な洗剤で指紋がなくなってしまったり、たくさん失敗しながらも「一人でも多くのお客様に温まってもらえるように」と思いながら毎日の掃除を行ってきました。
その甲斐があり、最近は効率良くできるようになったため、以前より短時間で掃除ができています。
ちなみに、この薪ストーブのデザインをされたのは「Jap工房」さん、製作は「鐡音(くろがね)工房」さんが手がけて下さいました。
Jap工房さんはシェフの大好きなロックバンドの一つである「聖飢魔II」の衣装を一貫して手がけられており、舞台美術も携わられています。「ちょっと不気味で、でも可愛くてファンタジー感溢れるものをデザインできるのはJAP工房さんしかなかった」とシェフ小山は言います。
「薪ストーブの誕生秘話」や「製作に込められた想い」は、【シェフと庭師Mの庭造り日記 vol.26 バトン】で詳しく書かれているので是非ご一読下さいませ。
https://es-koyama.com/garden/past/garden_06.html
これから温かくなるまで、薪ストーブはテラスを温め続けます。ご家族で薪ストーブを囲んで会話を楽しんだり、
カップルで暖をとりながら思い出を共有したり、それぞれの素敵な時間を過ごしていただけます。
エスコヤマにお立ち寄りの際はぜひ、薪ストーブで心も身体も温まって下さいね。