パティシエエスコヤマ研修旅行記2016

Vol.1 カカオの産地、ベトナムへ WRITER:大嶋 光野

ゴールデンウイークが終わり、今年もパティシエ エス コヤマの海外研修旅行の時期がやってきました!繁忙期が終わりこの時期が近づくと、みんな「今年はどこに行くのだろう?」と楽しみに、仕事に励んでおります。
2年目以降の社員が参加するこの研修旅行も、年々人数が増え、今年は総勢56名。
この旅行を企画してくださる小山シェフ、今年もありがとうございます。
製造兼管理部門の大嶋光野が2016年の研修旅行レポートの一番手を務めさせていただきます。
どうぞよろしくお願い致します。

今年の研修旅行の行き先は、昨年までのヨーロッパとは違います。
アジアの中心に位置し、日本によく似た南北に細長い地形に、日本人によく似た顔をした方々が暮らす国、「ベトナム」です。
なぜベトナムなのか?と意外に思われる方もいらっしゃるかもしれません。
実は、ベトナムは日本から一番近いカカオの産地だからです。他にも産地はあるけれども、中南米だと日本から40時間以上かかります。体調不良になる人も多く出るだろう。でも5時間という短い時間で行けるのはベトナム以外にありません。
世界的なコンクールでも高い評価をいただき、チョコレートに力を入れているお店で働くスタッフに、カカオをもっと知ってほしい!
カカオの農園を見て、カカオのフルーツを食べて、種をかじって、カカオがフルーツなのを感じて、チョコレートを食べてほしい!
スタッフ全員が“カカオのプロフェッショナル”になれるように勉強してほしいとの小山シェフの想いからです。
そのためにも、カカオの産地に行って、その気候、湿気や空気感、においを体で感じ、シェフとこの経験を共有することでシェフの視点を確認し、何を見られているのか?何をどんなタイミングで思いついて考えられるのか?をダイレクトに感じることができるのが、毎年の研修旅行です。
また、今、ベトナムのカカオは人気が高まってきています。今回の研修では2社を訪問します。
1つが“MAROU(マルゥ)”です。
日系フランス人のサミュエルさんと、サンフランシスコの広告代理店のクリエイターとして勤務されていた、フランス出身のヴィンセントさんが2人で立ち上げたブランドです。原材料のカカオは全てベトナムで生産されたものを使用し、チョコレートの製造までを全てベトナム国内で行っている、非常に珍しいブランドです。
日本でも人気で、新聞、雑誌などでもよく取り上げられていますし、百貨店などでも見かけることが増えてきたので、ご存知の方も多いのではないでしょうか。
もう1つが“ベトカカオ”です。
2014年に1度、小山シェフも訪ねたところで、障害をもつ若者の就業支援を行っている団体が運営されています。この団体と共にカカオに関わる仕事をサポートされているのが、「エリタージュ」社です。
このエリタージュ社を創始されたのが、フランス人のアンドレさんとアーノルドさんの父子です。
昨年の研修旅行で見学させていただいた、エスコヤマが個人輸入しているクーベルチュリエの中の一人、モランさんと“カカオプロジェクト”をホーチミンの南西、90kmほど行ったベンチェ州にある「ベトカカオ」の施設で行われています。

その他に、エスコヤマのクリスマスケーキのサンタクロースのオリジナルオーナメントを作っていただいている「サンフレーバー」の工場見学。
なんと全て手作業で作っているとのことで、「凄い技があるのではないか?」どうやって作っているのかを確かめに行きます。
その後ダナンという中部のリゾート地に行き、近くの「ミーソン」「ホイアン」などの世界遺産の街を散策する予定です。
最終日に「エスコヤマとダナン市の交流会」(シェフによるエスコヤマと三田市の紹介とベトナム外務省、副局長のダナンの紹介、ダナンで日本語を勉強されている学生さんとの交流会)という6泊8日の旅です。

私自身も東南アジアへいくのは初めてです。特にカカオの産地であるホーチミンは今までに経験したことのない暑い気候です。どういう食材があり食べ物があるのかなどその気候ならではの食文化に触れるのも楽しみの一つです。またベトナムは以前フランス領でした。その文化を感じるフランスのバゲットのサンドイッチ“バインミー”やまたベトナムの料理としてよく聞くのが平たいライスヌードルの“フォー”、生春巻き、ベトナム風お好み焼き“バインセオ”などどういう味の組み合わせなのか、どんな食材が使われているのかなどしっかり味わってきます。

12回目の参加となる私が毎年の研修旅行で大切にしていることは、小山シェフと行動を共にし、学びを得ることです。
普段の仕事でもシェフの想いや考えまでに至らず、正しい判断ができず、皆を導けなかったり、自分ではどうすることもできない失敗をしてしまうことがあります。
皆にとっても、もっと自分の考えの幅を広げ、色々な角度からの考えを持ち、様々な人や事案に対処できる人になれるようなきっかけを見つける旅にして行きたいです。
また、世の中の「一流」のレベルを少しでも感じ、自分がこれから何をすればいいのか、何を勉強すればいいかのヒントを見つけることを目標にしています。

いよいよ出発、5月11日(木)、朝6時半にエスコヤマに集合です。
関西国際空港まではバスで移動し、ベトナム航空にてホーチミンへ向かいました。

○今回の研修旅行はバウムクーヘン担当の坂本さんをリーダーに、バスの乗り降りをする際の人数確認をするカウント係、シェフのサポート係、お土産係、荷物の出し入れ係など、役割分担があります。
出発前に係を決めるところから準備をし、坂本さんがまとめてくれました。皆で協力し合いよい研修旅行にしていきます。

毎年お世話になっている「チームトラベルクラモト」の蔵本さんが一緒に行ってくださいます。
今年もよろしくお願い致します。

○関空を出発してから5時間くらいで、ホーチミンに到着しました。ヨーロッパまでの10時間飛行よりはずいぶん楽です。やはり近いですね。

ただ気候が違います。飛行機を降りた途端に“ムッ”とした熱気を感じました。空港から街中へはバス2台での移動になります。私は2号車に乗りましたが、各バスにベトナム人のガイドさんが乗ってくださいました。
こちらが2号車のガイドのヤンさんです。

○16時頃にホテル到着後、夕食までの間、少し散歩しました。
ホテルはサイゴン川に面しており、その裏手はドンコイ通りというレストラン、お土産物店、雑貨店などが並ぶ目抜き道りでとてもにぎやかです。一番驚いたのはバイクの数です。本当に多く、信号もあまりないですし、あったとしても、無視してどんどんバイクは突っ込んできます。道路を渡るのはとても勇気がいりました。
ガイドさんが言うには、事故はあまりないとの事。初めてだとびっくりしますが、普段ここで暮らしているベトナムの方々にとっては日常で身についたルールがあるようです。
ベトナムではみんながバイクに乗り、そのほとんどが日本の自動車メーカーHondaの商品が「バイク=Honda」、他のメーカーのものでも「ホンダ」と呼んでいるの事でした。大人2人、子ども2人まで乗って良いそうで、普通に3人乗り、4人乗りの家族をたくさん見かけました。ベトナムの方々のたくましさを感じます。

この市場もバイクが行きかう、油断できない通りでした。そのすぐそばで
雑貨や衣服、お土産物の店、屋台、八百屋、お肉屋さんなどいろんなものが混在していました。
中でも目を引いたのは八百屋さんです。ハーブが多く置かれているようで、ミント、しそ、セロリ、ドクダミ、パクチー、ヤナギタテなど目を引きました。ベトナムの国民食“フォー”にはこれらのハーブを入れて食べると聞きます。こういうフレッシュなハーブを入れた料理を食べると身体の中から元気が湧いてきそうです。

こちらの屋台の椅子は低くて、まるでお風呂の洗い場にあるようなものです。ベトナムの人はあの椅子がしっくりくるのでしょうか。老若男女を問わず低い椅子に座って食べていました。
喉が渇いたので、市場にあった屋台でサトウキビジュースをいただきました。

あっさりした甘さで美味しかったです。
1時間ほど歩くと排気ガスのせいか、目が痛くなってきました。ホーチミン市内は特に交通量が多いので、マスクをしている人が多いのも頷けました。

○夕食は「ソン・グー」に行きました。私たちは18名での大人数の夕食でした。宮廷音楽の生演奏もあり良い雰囲気で食事のできるところでした。ベトナム初の食事もおいしく頂きました。
「ソン・グー」のレポートはこの後、「未来製作所」担当の千葉さんが詳しくレポートしますのでお楽しみにお待ちください。

○夕食後の21時頃、ガイドさんが「スターバックスに対抗してできたPHUC LONGというカフェの“ピーチコーヒー”がおいしい」と教えてくれたので、そこを目指し、散策に出ました。途中、グエン・フェ通りには広場があり、観光客に交じって、地元の小さい子供も遅くまで遊んでいました。日本ではない光景でした。暑い国だと日中、出歩けない分、夜に遊ぶのかなと思いました。でも元気です。こういうところにもベトナム人のエネルギーを感じました。
“ピーチコーヒー”は南アフリカ産のフレッシュのピーチをミキシングしたジュースとコーヒーを合わせたものです。
フルーツ感たっぷりのスカッとした美味しい飲み物でした。
コーヒーにヨーグルトを合わせたり、お茶にもフレッシュのオレンジジュースを合わせたり、と暑い国ベトナムならではの美味しい組み合わせに出会いました。

最後までお付き合いいただきまして、ありがとうございます。 明日はいよいよカカオの農園へ行きます。考えただけでワクワクしてきます。 しっかり見て、食べて、触って、肌で感じてきたいと思います。

次のレポートをお楽しみくださいませ。