パティシエエスコヤマ研修旅行記2016

Vol.5 Cuc Gach Quanでのディナー WRITER:田中 裕子

 こんにちは。マカロン担当の田中 裕子と申します。
 ベトナム研修旅行2日目、5月12日にCuc Gach Quan(クック・ガック・クアン)に小山シェフとご一緒させていただきましたディナーについて、レポートいたします。
 メンバーは、シェフと、ショコラ担当の安西さん、白坂さん、hanare担当の二見さんと私の5名です。

 クック・ガック・クアンは、ホーチミン市1区の北にあるベトナム料理店。
あのブラット・ピットとアンジェリーナ・ジョリー夫妻が訪問した事があり、一躍有名になった、ということも耳にし、またガイドブックによると、
「アジアンテイストでアンティーク調の内装や食器から生まれる雰囲気が地元のベトナム人にとっても一つ一つ故郷を思い出させてくれるようなたたずまい。さりげなく、レトロ感が散りばめられている空間」ということで、とても興味がわきました。店名の【Cuc Gach Quan】とは、ベトナム語で【レンガ造りのオフィス】の意味があり、ベトナム各地の料理をその地域の味付けや調理法で提供してくれるそうです。

 “eat green,live healthy”【緑を食べて健康的に生きよう】がモットーにされていて、料理にはふんだんにお野菜が使用されていました。外装や内装には数種類の木々が植えられていたり、と、健康と環境を考えているという雰囲気を強く感じました。

まずは小山シェフが選んでくださったシャンパン「ジャック・ピカール・シャンパーニュ」で乾杯!!

シェフは「ベトナム料理にしっかり合うものを選んだ。」とおっしゃっていました。
私たちも早速味見をさせていただきました。
お酒にはあまり詳しくはないですが、黒胡椒、唐辛子、魚醤などを使った、味がしっかりとするお料理と一緒に合わせてもスッキリとした後口でとても美味しくいただけました。

1品目「鶏肉のスープ」

別添えで黒コショウとパクチーが出てきました。しっかりとした鶏がらスープ味の出汁の中に溶き卵が入り、とろっとした口あたりのスープ。身体にしみわたる納得の味です。
シェフが「ベトナムには胡椒農園が結構ある。また、ゴム林も発達してきている。」と教えてくださいました。
後で調べてみると、実はベトナムは世界一のコショウ輸出国であることが分かりました。

2品目「ソフトガニの唐揚げ」

ソフトガニとは、脱皮したてのカニのことです。
思いきってソフトガニを大きな口で丸ごとほおばると、サクッとした殻の中にプリプリとした身がぎっしり入っています。「これはめちゃくちゃ美味しい!!!」カニの下にはたっぷりのカイワレ大根が入っていて、その辛味とタマネギの甘味、にんにくや唐辛子がアクセントになって、すごく良い味のバランスです。
「カイワレ大根をいかに美味しく食べるか」というシェフの言葉がピタリとはまるお料理で印象的でした。

 3品目「牛肉と空芯菜の炒め物」

オイスターソースで味付けされた甘味のある牛肉を、酸味がきいたコクのある黒酢がなんともうまく味を引き立てています。そして熱い夏を乗り切る強い味方空芯菜の天ぷらの上には、カリッとした食感の香ばしいピーナッツが。これがたまりません!!
さらにパクチーを絡めて食べると、とても相性が良く、パクチーが苦手な私も美味しい!!と感じる一品でした。

 4品目「揚げ春巻き」

一緒に添えられた、魚醤と赤唐辛子と砂糖が入ったヌックマムの独特の香りが、エスニック料理を引き立ててくれました。
ライスペーパーのサクサクした食感の揚げ春巻きをヌックマムに浸し、レタス、えごま、パクチー、ミントを一緒にくるんでいただきます。そのままでも十分美味しいですが、葉ものに巻いていただくと、さらにオリエンタルな味に変化して面白い。そして、ここに来てミントの価値が分かるようになってきました。ケーキだとミントは飾りの一部で、食べるときには横に外される事がほとんどです。しかしベトナム料理だと香草として料理の味の引き立て役に。素晴らしい!!
こちらは、お店に入って、シェフが一番にオーダーしたいと言われていたお料理なだけあって、太鼓判を押します!!
 ※ちなみにヌックマムとは、ベトナム料理で使われる調味料で、小魚(イワシ、ムロアジ)を原料とする魚醤の一種です。

 5品目「牛肉の焼きそば」

ベトナムといえば、フォーというほど、のスープが入った麺料理が有名ですが、こちらも代表的な一品だそうです。安心できる庶民の味でした。

 6品目「揚げ豆腐のレモングラスのせ」

サクッとした食感の中には優しい味の自家製のお豆腐が。揚げたレモングラスのフレークと、チリ、ニンニクがたっぷりトッピングされています。レモングラスはアジア料理に欠かせないスパイスの1つ。レモンのように清々しくスッキリとした酸味がチリとニンニクの辛味と相まって、いい仕事をしてくれていました。

 食後にはグァバ、ザボン、スターフルーツ、それぞれのフレッシュジュースをオーダーしました。

絞りたてのフレッシュジュースがビンに入り、蜂蜜やシロップが添えられています。このシロップがフレッシュフルーツの味をバランス良く引き出してくれます。くるんとまかれた笹で出来たビンのふた。そしてころんとしたグラスには空芯菜で作られたストローがささっていました。なんともセンスが光る演出です!!
初めてのスタイルで、シェフと私達はこのジュースでかなりテンションが上がり、それぞれ飲み比べ。おおいに盛り上がりました。

 デザートは「蓮の実のぜんざい」と「揚げバナナ」です。

ベトナムスイーツといえばベトナム風ぜんざいの「チェー」が有名。今回は冷たいシロップに柔らかい豆のようなほっくり優しい味の蓮の実がごろごろと入り、これが特に美味でした!!
れんこんやフキのような甘露煮も一緒にいただきました。
 そして見た目にシンプルな揚げバナナ。現地のガイドさんオススメでしたが、本当に美味しいのかな?と疑いつつ口に運ぶと、予想をはるかに超える美味しさでした!!
これは加熱用のバナナで、身もほどよい食感で酸味があり、バナナ特有の甘く良い香りが口いっぱいに広がります。さすが熱帯気候で育ったバナナだけのことはある、と感じました。

クック・ガック・クアンはカフェも併設しており、堅苦しくなく、気軽に美味しいものをいただける料理屋さんでした。落ち着いた空間で、お料理も大変美味しく、新しい素材(日本ではなかなかお目にかかれない素材)に出会えましたし、料理を引き立てるハーブの使い方という点で香草の役割、味付けなどとても勉強になりました。

小山シェフ、ありがとうございました!!

最後までお読みいただきまして、ありがとうございました。