21.05.20 (4/6ページ)
Vol.16

持続可能なモノづくり
~What is the true meaning of sustainable?~
サステイナブルの真の意味とは?

カカオの産地へ行くと、とにかく新しい発見の連続。 ケーキづくりを忘れ、頭を空にして、現地の歴史や文化から感じるままにインプットをしていた。 マダガスカルのような国では、日本でいう昭和の時代の生活がそのまま続いているかのような光景が残っていて、現代の人々が忘れかけていた大切なものを思い出させてくれるような感覚に浸ることもあった。


発見の連続という意味では「麺づくり」も同じで、深掘りすればするほど発見がある。 知人のラーメン店の大将からアドバイスをもらって、実験して、お菓子とは全く違うジャンルの奥深さに学びながら「あ、わかった」と思ったり、次の瞬間には「あ、やっぱりわかってなかったわ」と思ったり。 そういう刺激が本職の創作に向かう心を整える役割を果たしてくれていたのである。


この「心を整える時間」という概念は今後の創作にも大きな影響を及ぼすことになるだろう。 この1年でそれが発見できたのは非常に意味のあることだ。


話は変わるが、マダガスカルの話を出したとき、古い建物、古い車ばかりの街の風景を思い出した。 そこは本当に時が止まったかのような錯覚に陥る国で、それを思い出した時、最近よく見聞きする「古き良き時代」という言葉がふと浮かんだ。 この言葉は何が言いたくて使われるのだろうか?

「古き良き」とは、いわゆる「昔は良かった」と言うための表現。 物質的には今の方がはるかに便利になっているはずなのに、なぜ昔の方が良かったと感じるのか。 僕が思うに、モノが足りていなかった古き時代は、モノを大切にし、使えるモノは最後まで使い切り、無駄を出さず、その反面で少しでも良い生活が送れるようにと、皆で助け合い、大人も子どもも生きることに一生懸命になっていたのだろうと思う。


そう考えると、「生き方の姿勢」が全く違うのかもしれない。一体どこでボタンをかけ違ってしまったのか……。 そういった考えから、そのかけ違いを正すための具体的な指針として生まれたのがSDGsの考えなのかもしれない。

素材に真摯に向き合い、
手間ひまをかけるエスコヤマのSDGs

今、世間ではSDGs「Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)」が叫ばれている。今回、ある百貨店さんの夏ギフトのテーマとして掲げられていたことで、エスコヤマのモノづくりとSDGsの考え方の共通項を深く考えるキッカケをいただいた。 しかし、改めて考えると何か変化を起こして「こうしていかなければいけない」というよりも、僕は「これまで大切にしてきたモノづくりをベースに、それを強化していこう」という感覚でこの取り組みを受け止めている。


その感覚で生み出したお菓子の1つめが、昨年デビューした「es Frozen C2」に、マンゴーや三田苺のジュレを入れたアレンジバージョン。 このアイテムにはプレーンタイプがある。 それには愛媛県産のレモン果汁を使用させていただいており、顔の見える生産者さんの素材を継続的に使わせていただいている。 言ってみれば別に手間をかけてフルーツを入れなくてもいい。 しかし僕はプレーンの「C2」を生み出したと同時に「フルーツのジュレを入れたら美味しいだろう」と思ってしまった。


しかも、繊維の多いマンゴーは凍らせてもフレッシュ感が活きることは分かっていたので、チーズケーキの濃厚さと爽やかさに絶対に合うとすぐにイメージできた。 そう考えたら実現するのがエスコヤマの当り前。


実現するにはどうすれば良いかを考える。 それによって、もっと先の美味しさに向かって当たり前の上をゆく。それに加えて開発したのは三田苺バージョン。 ケーキやアイス、コンフィチュールにも使わせていただいている「三田苺」をもっと多くの方に知っていただきたいし、できるだけ沢山使っていつもの恩返しが少しでもできたらという思いで選んだ。


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