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Vol.15
あのとき、あの人が…… 先人の思いを受け継ぎ次代へ繋ぐ
案の定、平安時代に薬だったものを食べるようになって……、ということが分かった。 こういうカタチで、人のおかげで新たな視点を得る時もある。
また、時には神の力を借りることもある。 「テハテ」がそれだ。 現地では「神の飲み物」と言われているドリンク「テハテ」。 これを再現したチョコレートってあるのかな?と思っていたらあった。 メキシコのクリオロ種カカオのチョコレートに「カカオの花」と呼ばれている花が一緒に練り込まれたものだ。 かなり美味しかった。 メキシコに住み、歴史を知って使っている人がいる。 そこに僕たちは勝てない。
だったら力を借りるしかない。 三田に住んでいる人間が、「古代メキシコ文明が云々」と言ったところで何の信憑性もないのだ。「神」という名前にしたのも、このコロナでどうしようもなくなったとき、人は何とか生き抜くために神様に向かって手を合わせて「助けてくれ」と祈るだろう。 メキシコには人類に農業を教えた神の神殿がある。 左官職人の久住有生さんがつくってくださった、Rozillaのタブレットコーナーの両サイドにあるレリーフのモチーフはその神だ。
そういうものと背中合わせで人類はここまできている。 カカオも素材もすべて自然の産物。 「今年も良いものが出来てくれよ」と、自分自身も心の中で知らぬ間に祈っているかもしれない。
ただ、神に頼むのは最後の最後だ。 自分自身、やるべきことをやらずして、頼ることはできない。 2021年もショコラを通じて伝え続け、あとは皆さんの心に響いてくれることを祈るだけ、そんな年にできるよう全力で創作に向き合いたい。
2020年12月7日 小山 進