20.12.25 (5/6ページ)
Vol.15

あのとき、あの人が…… 先人の思いを受け継ぎ次代へ繋ぐ

自然を求めて

ご指摘は、多くの方からすれば気にならない部分である場合も多いが、改善できるところは必ず改善する。 ボタンについては、本物だと知って買われている方は少数だろう。 しかし、あの社長さんの思いが宿っている以上、僕が勝手に変えることはできない。「幸せのボタン」はもう僕だけのものではないのだ。


カカオもそう。コロンビアのアルアコ族から稀に「OHAYO」と、簡単なメッセージが届く。 恐らく、僕の新作をSNSで見て「コロンビアのカカオは使ってくれているのか?」と言いたいのだろう。 コロンビアのカカオは最近ボンボンには使えてないが、新しいオランジェットにはシエラネバダのカカオを使っている。 こういうことがあると「また使おう」と思う。 一度使い始めた者の責任、モノづくり人としての責任だ。

新たな絵本に込めた思い 誰もが持っている大切な「奇跡の森」

2月19日に発売した新しい絵本『ショコラータはかせとしあわせのボンボンショコラ』 は、トランプ政権の話も背景にあるが、この絵本は、森林が破壊され、食べ物も取れなくなり、チョコレートも無くなって、人が争うようになった場面から始まる。 困った博士がそれを止めるべく、幻のカカオがあるという「奇跡の森」を探して動き出す話。


これは、本当に20年後、30年後にはこうなってしまうよ、という警告の意味も込めて描いた。 このままでは現実でもどんどん人が争いだし、コロナでそういうことも起こっているので、どんなことも起こる可能性がある。その反面、世の中もここにきて「もう少しみんな意識していこうよ」という風潮が広がっている。

「持続可能な社会」「脱炭素」「脱プラスチック」なども加速的に考えが波及している。 そろそろ人類も自分で自分の首を絞めていることに気づこう、というのだ。 それは地球にとってはすごく良いこと。子どもたちは絵本を読んで「こんなことになったら嫌だな」「チョコレートで幸せになってほしいな」と感じてくれたらいいなと思う。 でも、本当の意味はそこにはない。


僕も伝えたい核となる部分がないと絵本にする意味がないと思っている。大人の皆さんから伝えていただきたいのは、主人公のショコラータ博士が人々の幸せを取り戻すために見つけ出した「奇跡の森」のように「皆がそれぞれに持っている『奇跡の森=大切な何か』を、改めて大切にしよう。 そして未来へと繋いでいこう」ということである。


12月19日に発売した新しい絵本『ショコラータはかせとしあわせのボンボンショコラ』 は、トランプ政権の話も背景にあるが、この絵本は、森林が破壊され、食べ物も取れなくなり、チョコレートも無くなって、人が争うようになった場面から始まる。 困った博士がそれを止めるべく、幻のカカオがあるという「奇跡の森」を探して動き出す話。

楽しいものを生み出したい やるべきことをやり、あとは神のみぞ知る

毎年新作が登場する「es-TABLET」。 今回は、以前すごく人気のあった「苺とピスタチオ」をリメイクしたものや、インスタでリモートの音楽配信をしている時に「あいみょん」の「マリーゴールド」をずっと聴いていた時期と、ハーブ屋さんから「マリーゴールドの花のパウダーの改良版ができた」と連絡があったタイミングが重なって「マリーゴールドのショコラを創ろう」という流れで創ったタブレットもある。


「ポップで明るい」「誰もが食べてみたい」と思うようなアイテムを増やした。 唯一、職人目線で創ったのは、「ジントニック」。 ジュニパーベリーをアルコールに漬けて香りを移しチョコレートに混ぜ、混ぜている間にアルコールを飛ばして香りだけをチョコレートに移すという今までやったことのない技法を使った。


これは大和橘の関係者の方のおかげでできたことだ。 たまたまその人のテンションと同じテンションを持つ方が繋がって同じ熱を持つ人物を紹介してもらえる瞬間がある。 今までは和歌山の人が多かったが、今回は奈良の人。 そして、その奈良の人から「奈良時代に橘寺から平城京へ続く『橘街道』と呼ばれた道があり、そこで人が死なないように果樹を植えよと命令が下った」という話を聞いた時、恐らく時代というのはこういうふうに作られているんだろうと思い、牛蒡も歴史的な観点で調べた。



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