vol.23
〜今年たどり着いた場所〜

3/3ページ

少し話しは変わりますが、この感動の原理の話しは何度もコヤマシェフの口から語られて、インタビューや公演、講習会で耳にした内容の話とかぶるかもしれません。もしかしたら、今までの庭師日記の中でも触れた内容かもしれません。
 では、なぜわざわざ今回この話を書いたかというと、真横でコヤマシェフの感動する姿を見て、リアルにコヤマシェフの感性を見ることができて、今回の牧場の牛乳ストーリーが印象に残ったからではありません。もちろん、それもありますが、それよりも、この話を受け取る私の中にも何か変化があったのです。今まで頭では理解していたことが、頭ではなく、心でこのコヤマシェフのメッセージを受け取れたような気がしたからです。言い換えると、今までよりももう少し、深くシェフの言ってくれたことに気が付いたように思えたからです。だから、この話を取り上げてみました。
 気が付いたと思ったら気が付いていないことに気が付いて、そして、また気が付いていないということに気が付いたと勘違いしていたことに気が付く。でも、そうやって少しづついろんなことを深く理解し、気が付いて行くのでしょうか。ドンくさい。今年で5年目の庭造りが終わりましたが、私にとっては2009年もそんなドンくさい一年でした。恥ずかしい話でが、何度も言い続けてくれて、これがやっと気が付いたことです。

 でも、その半面、地味に何度も何度も同じメッセージを繰り返してくれる小山シェフのような人が近くにいること、それは本当にありがたいとも思いました。今の世の中、家族や大切な人にすらまっすぐに向き合わない人がいる中、シェフはいつも辛抱強く私にですら向き合ってくれます。ある時、お茶を飲みながら、シェフが言った言葉、

「俺が言ったことが理解できなかったり、気が付つくのが遅いスタッフが中にはいるんや。何で分かってくれへんねん、って思う反面、そいつに気が付かせることができなかったら俺は負けや、って思うんや。根競べやで。」そんなことを語ってくれていました。
「そんなスタッフもいるんや。シェフも大変やな。」なんて他人事のように思いながらこの話を聞いていましたが、実はその時、私もその一人だったのでしょうね。

本当に今更ですが、 今年になって、
「あ、だから、小山シェフは何度も同じことを繰り返し言い続けてるんだ。」と分かりました。そうやってゆっくりでしか気付かない人のため、コヤマシェフは繰り返し同じメッセージを送り続けてくれているんですね。今いる場所が自分にはどこかわかりませんが、とりあえず、このあたりまで理解できました。いや、まだ、こんなところまでしか気付いていません、というほうがいいかな。すいませんが、もうしばらく同じことを言い続けてくれませんか?

それよりも、まず先に
今まで気が付いていなかったからいい忘れてました、
いつもありがとう。
今年もお世話になりました。


12|3|


更新日09.12.31


vol.30 「マダガスカルに行くぞ」

vol.29 「サプライズのその先」

vol.28 「flow」

vol.27 「目に見えないもの」

vol.26 「バトン」

vol.25 「人を雇うこと」

vol.24 「ホンモノ」

vol.23 〜今年たどり着いた場所〜

vol.22 久住章のトイレット

vol.1〜vol.21まではコチラ