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「イタリアの町を歩いているとなんともいえん独特のやわらかい雰囲気を感じることができるやろ。それは建物の壁のせいなんや。どの家も壁の雰囲気が柔らかいんや。あれは日本では見ることができへんねんけど、それは技術的な理由ではないんや。日本とイタリアの壁の違いは実は国民性の違いなんや。日本人は性格が細かくて几帳面なところがあるやろ。だから、壁を塗る時、決して塗り接ぎが出来ないように、いくら大きい壁でも手を止めることなく、一度に塗ってしまうんや。だからピシッとした仕上がりになる。それはそれで美しいんやけど、どうしても雰囲気が硬くなってしまうねん。その点、イタリア人は大きい壁でも2、3人でのんびり仕事するんや。壁を塗っている途中でも昼がきたら仕事は一休み。
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