しかし、「今回のプランは全く自信なし。作り手が自信のないプランを喜んでくれるような相手ではないことは百も承知。おそらく、コヤマシェフに木っ端微塵に切られてしまうだろう。精神的にぼこぼこになるまでめった切りにされるやろなぁ。」でも、心のどこかで、怒られてでも、シェフにエネルギーや発想をもらわないと今のパニック庭師ではいいものは出来ないことを感じていました。
重い足を引きずりながらコヤマシェフのオフィスに到着。
とうとう来た。さあ、覚悟を決めてプランを見せると、案の定、シェフは浮かない顔をしてぼんやり私のプランに目を通しています。
「はっきり言ってやって下さい。」と心の中でつぶやくと、
「なあ、まっちゃん。そんなに力いれんなや。もう少し力抜いてみろよ。」
とプランを見ながらびっくりするぐらい優しい声で言葉をかけてくれました。
久住さんとの仕事の中でいつの間にか、「この人に認められたい」、とか「負けてられない。」など若い若い単純な発想で、自分の力以上のものをつくろうと必死になりすぎていていました。まさに久住章の呪縛です。っていうか、私が勝手に力んでいただけですが・・・・恥ずかしい!!!シェフの言葉を聞いて「自分がかっこ付けるために仕事をしたらあかん。」と心から思えました。また、この日改めて思い出したことがあります。それは、僕はいつもコヤマススムという一流のパティシエと仕事をしています。そして、コヤマシェフを通じてたくさんの一流の人たちと仕事をしてきました。ここパティシエ エス コヤマで、私は自分よりレベルの高い人たちと仕事をするときの心構えはいやというほど学びました。いまさら力んだところでなんにもならないことは経験済みです。コヤマシェフの言葉はそんなことを一気に思い出させてくれるありがたいものでした。
それから、数日後もう一度プランを持っていきました。今度はなんの迷いもなく。
今回のお庭の出来は見る人によって異なると思うので、自分ではなんとも説明できませんが、ただ、久住さんからは、「この庭、力あるわ。」そしてコヤマシェフからは、
「ええやん。」という言葉をいただけました。
この二人からのこの言葉が聞けたことは個人的にとても嬉かったです。 |
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