vol.30
「マダガスカルに行くぞ」
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その後は、ランチへ。ランチはとてもきれいなお店で、間違いなく外国人向けのお店でした。フォアグラなんかが出てきたりして。まあ、今年最初で最後のフォアグラをマダガスカルで食べるとは全く想像していませんでしたが、せっかくですし、たくさん食べておきました。

腹ごしらえを終えて、空港へ向かいます。今日はヌシベという島へ飛行機で渡り、そこで一泊する予定です。空港へは昨日ついたばかりですが、夜中だったこともあって、どんな建物かよくわかりませんでしたが、昼間に来てみると意外としっかりした建物です。
マダガスカルの空港は少しおおらかなセキュリテリーシステムが採用されてます。一旦、チェックインして、金属探知機を通っても、また、空港の外へ出ることができます。警備の人もかなりフレキシブルな方が採用されており、登場者全員チェックが終わると、次からはいくら出入りしようが、顔パスです。「あ、お前さっき金属探知機に通ったよね。」見たいな感じでウィンクしてくれます。飛行機テロ以来セキュリテリー強化が進んだ空港が多い中、このフランクな感じがとても気に入りました。

 飛行機は14:30の予定。しかし、空港で待っていると、出発が遅れる、というアナウンスがありました。出来るだけ明るい時間に今日のホテルに着きたかったので、一同「マジかよ?」、と落胆。それもそのはず、今日泊まるホテルはマダガスカルのパラオ言われている島のビーチサイドのホテル。このホテルは今日しか泊まる予定にはなっていません。しかも、明日はかなり朝早い出発なのです。
落胆しつつも、「まあ、おおらかな国だからこんなこともあるだろう」、と諦めて待つこと2時間。突然、アナウンス。マダガスカル語とフランス語なので、どっちも理解できませんが、空港が騒然となっています。
「え、どうしたの?」とガイドのジョゼさんに聞くと、
「どうも飛行機がキャンセルだそうです。」と、顔をしかめています。
「なぜですか?」と尋ねても、
「理由はわかりません。」とジョゼさん。
空港はパニックです。正確に表現すると、空港にいる外国人はパニック&ブチ切れ。しかし、現地人らしい人たちは文句一つ言わずクモの子を散らしたかのごとく一瞬にしていなくなりました。どうもこういうことは現地の人にとってはそんなに珍しくないそうです。
我々旅行者はとりあえず、空港カウンターに戻って、今日の宿泊のこと、明日のフライトのこと、苦情を空港の人たちにぶつけることにしました。しかし、カウンターは一つ。そこには大行列。みんなひとしきり同じ質問&苦情を言うもんだから、遅々として行列は進みません。進まないと余計にストレスが溜まり、並んでいる人たちの苦言の時間がだんだん長くなって、余計に列は進みません。ひどい惨状です。しかも、カウンターで話をする旅行者はみな、話しながらキレ方がMAXに高まっていますが、それもそのはず、明日の飛行の予定はまだ立っていないそうだ。それを伝える職員の態度がまたびっくりするぐらい横柄なのだが、
「じゃあ、どうすればいいんだ?」と職員に迫ると、
カウンターの女性が言ったことは
「今わからないので、今日の夜、明日の飛行機があるかどうか、電話します。」だそうだ。
親切なのかなんなのかよくわからないサービスに思わず笑ってしまいました。

アンタナナリボの町

 常識とは国によってとても大きな違いがあり、自国の常識という色眼鏡で違う国の習慣を見てしまうと、当然いろいろなことに疑問や不安が湧いてきます。スペインはお昼の休憩が長い。フランスはバカンスの時は町のお店が全く開いていない。イギリスの食事は不味すぎる。それはそれぞれの国でみな当たり前の感覚ですが、それを日本常識を持って見ると、「おい、この国はこれで大丈夫なのか?ちゃんと働けよ。もっとうまうもの食べようよ。」と不安になったり、アドバイスしたくりますが、ことマダガスカルぐらいかけ離れた常識を目の当たりにすると、むしろ楽しくなってきます。このフライトキャンセル事件も、まず、日本なら保証問題ですし、そんなことが続くようでは飛行機会社は存続できないでしょう。しかし、マダガスカルエアーは国営で、誰に文句いわれようとも、飛ばないものは飛ばないという男らしい姿勢を崩しません。現地の噂では、マダガスカルの飛行機は3本に1本の確率でしか飛ばないそうです。打率でいうと3割3分3厘。打率ではかなりいい方ですが、飛行機の飛ぶ確率としてはこれではまずい。しかし、それがこの国の常識なのです。しかも、フライトキャンセルの場合、外国人ならその夜のホテルはマダガスカル国持ちで確保してもらえるのですが、現地の人達には宿泊施設の保証はないそうです。自国に厳しく、他国に優しい。
しかしです。後で聞いたのですが、「今日我々が泊まっていたホテルは高いからもう少しランクを落としてくれと交渉されました。」、とガイドのジョセさんが教えてくれました。国営の会社にホテル代をケチられたら、なんとも切なくなります。
  そして、最後に 「ホテルまでの交通費もマダガスカル国が持ちます。」と伝えられたのですが、
「そんなの当たり前だ!」と叫びたくなる反面、「そこは一応出るんだ?」と少し驚きました。
さっきまで 「どうなってんだ、マダガスカルエアーは、っていうか、どうなってんだこの国は。」と言って怒っていた人たちも、ここまで来ると、呆れて開いた口がふさがりません。もしかしたらそういう作戦なのかもしれなません。
 どうあれ、我々はバカンスで来ている訳ではありません。カカオの撮影に来ているのです。もし明日も飛行機が飛ばないようではシャレになりません。となると、現地に行くためには陸路しかない。地図を見る限り、現地まで道がつながっているのですが、
「陸路では車を走りっぱなしで1日半かかります。往復3日です。難しいと思います。」とジョセさん。
「まあ、そうだが、我々は絶対に現地について、そこでカカオの撮影をする必要があるんです。そこをわかってもらいたい。」とジョゼさんにお伝えしましたが、 「とにかく、今晩マダガスカル国から連絡がくるのを待ちましょう。陸路はこの日程では難しいです。」
 ジョゼさんにそう言われると、我々としてはどうしようもありません。仕方なく、ホテルに向かいました。急いで予定の変更です。行程が1日ずれるということはとても大変です。まず、カカオ農園に連絡をいれて、その次にバニラ農園に連絡を入れる。しかも、バニラ農園に行くためにはまた、飛行機に乗らなければならないので、その便の変更もする必要があります。そもそも、そっちの飛行機は飛ぶのだろうか?っていうか、帰りの飛行機は大丈夫か?
 3割3分の飛行機とは心配しはじめると、途方も無く心細くなります。

結局、半日、飛行場にいたので、ホテルについたら、もう夜でした。食事はホテルの中でとります。食事をしているおと、通訳のジョゼさんが、 「いま、マダガスカル国から電話がありました。明日、飛行機が飛ぶそうです。時刻は14:00です。」と。そのニュースを聞いて、我々のテーブルは歓喜に沸きました。我々の喜ぶ姿をみて、近くで食事をしていた飛行機を損ねた旅行者達も明日の飛行機が飛ぶということを察したのか歓喜に沸いていました。 「まあ、旅はイレギュラーことがある方が面白い。」とコヤマシェフ。 確かに。ここはマダガスカル。まあ、いくらゴネたところで、飛ばないものは飛びません。だったら、次の飛行機までの時間を有効に使おうということになり、今日訪れたチョコレートショップ「Robert」の工場があるので、そちらを見学することにしました。本当はカカオ農園を訪れたあと、一度首都アンタナナリボに戻ってきたときにチョコレート工場を見に行く予定にしていたので、明日訪れることができれば、どうにか予定通りの行程を行けます。

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更新日12.10.16


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