この農園を訪れたとき、「彼らが家族みんなで大切に育てたカカオを使っていることを知ることが出来てよかった。」とコヤマシェフは本当にうれしそうでした。そして、
「彼らが誇りに思ってくるようなおいしいチョコを作っていきたいと心から思ったよ。今回のショコラの本には彼らの写真と名前を入れて、彼らに送ろうと思う。そしたら、もっと自分たちの仕事にやりがいを持ってくれるかもしれん。少なくとも、おいしいカカオを作ってくれた感謝の気持ちを伝えたいしな。」とそこで撮影に協力してくれた人たちの名前をメモしていました。
こうしてカカオという一つのフルーツでマダガスカルと兵庫県三田市にあるエスコヤマがつながりました。
「チョコレートは世界を繋ぐ」とシェフが語ったことが今ようやく理解できました。
つながることは関心を持つこと。
「もっと他人に関心を持て。」とコヤマシェフは繰り返し語ります。
自分の家族や友人、同僚、先輩後輩、その延長線上を進んでゆくと、いつの間にやらマダガスカルの端っこにまでコヤマシェフはたどり着きました。写真家と庭師を引き連れて。
「愛の反対は憎しみではなく無関心」とマザーテレサは言いました。
関心を持つこと、それはつまり、愛ということです。そういう意味において、今回の旅は愛を届けにマダガスカルに行ったのかもしれません。しかし、現地の人たちに会うと、もっと深い愛をいただいた。そんなカカオの旅だったような気がします。話が壮大になりすぎましたね。
今回のマダガスカルの旅でインスピレーションを得たコヤマシェフがいったいどんな作品を作り出すのでしょうか?一緒に見たあの景色、人々、カカオからシェフは何を思い、何を表現するのか? 本当に楽しみです。
「我々が使っている素材がどんな場所でどうやって育ったのか?それは誰がどんな気持ちで作ったものなのか?それを知るだけで良いんです。それを知って、その人たちの思いに敬意を払ってものを作りたい。それだけです。」コヤマシェフのもの作りの姿勢は至ってシンプル。
このモノの原点を探る旅はまだまだ続きます。コヤマシェフがモノを生み出し続ける限り。これはきっとコヤマシェフの創作活動の一部なんですね。今回もたくさんの良い勉強ができました。そして、その面白い節々を写真で切り取ってくれた石丸さんには本当に感謝しています。
帰り際、
「次はパプアニューギニアに行こうか?あそこのカカオも独特なんや。」とコヤマシェフはうれしそうに話しておられました。
もちろん、僕らはどこまででもお供しますよ。
|