今年もゴールデンウィークが終わり、パティシエ エス コヤマ恒例の海外研修旅行のシーズンがやってきました。今回はフランス7日間の旅。
「ショコラ」をテーマに、普段、エスコヤマの原料となるチョコレートを作ってくださっているショコラトリーや、4代にわたってbean to barを営まれている方の工房などを訪れる、アヴィニョン、ヴォアロン、ヴァランス、そしてパリを周る研修です。
どんな出会いがあり、どんなことに気付き、何を学ぶのか・・・各日程を様々な部署のスタッフが順次レポートさせていただきます。お楽しみにお待ちくださいませ。
さて、旅行先はフランスなのですが、皆が日本を出発した5月12日、小山シェフとラッピング担当の岩下さん、ショコラの中島さん、通訳の平野さん、そして広報の私・千葉の5名は北欧・デンマークの首都、コペンハーゲンにいました。なぜパリから1200km以上離れた街にいるかというと、“世界一のレストラン”noma(ノーマ)のランチに行くためです!
その1日を、前編・中編・後編の3部に分けてレポートさせていただきます。
nomaといえば、イギリスの”Restaurant”誌のランキングで4度、「世界のベスト・レストラン50」の1位に選ばれていることで知られます。それまで「食」のイメージがなかったデンマークへの観光客を増やし、国の経済までも動かしたと言われています。今年の1月~2月には、東京のマンダリンオリエンタルホテルに、スタッフ全員・お店ごとやって来て大きな話題になっていたので記憶に新しい方も多くいらっしゃるのではないでしょうか。
小山シェフも2月に体験された際に、nomaのシェフ、レネ・レゼッピ氏と素材使いなどのクリエイティブな部分で大いに意気投合され(小山シェフが一昨年、チョコレートの素材として考えていた食材の組合せと全く同じ組み合わせの一皿が出てきたそうです!)本拠地を体験することとなりました。
今回、予約が取れたのは4席ということで、小山シェフに同行させていただける3席を巡って、社内では公平に「希望者の中からあみだくじ」が行われることに。
そして、応募者多数の中からラッキーなことに選ばれたのが、上記のメンバーです。
私も小山シェフにnoma東京の料理の写真を見せていただきながらお話を伺ったり、雑誌やWEBで記事を目にする度に興味が湧き、小山シェフと偶然ぴったり同じ素材を使っていたりする方が創る料理、空間をぜひ体験してみたい、また単純に「世界一」とは何なのか?という好奇心もあって応募させていただきました。
行けることが決まったメンバーとは、社内で顔を合わせる度に雑誌のコピーを渡し合ったり、「他のスタッフから借りたnomaの写真集を見ていたらなめくじが載ってた」「草がたくさん出てくるらしい・・・」等、
楽しみなのが半分・怖いの半分、でとてもワクワクしていました。
そして迎えた5月12日。
パリからコペンハーゲンへ向かう飛行機の中で、改めてnomaの記事を読み直していると「いよいよ…」と
期待が高まってきます。とてもスムーズに移動ができて、朝10時には無事に市内に到着しました。
空港からして清潔感あふれるすっきりとしたデザインで「日本ともパリともまた違う、“北欧”にやってきたなあ」と実感が湧いてきます。
12:00からのランチにはまだ時間があるため、レネシェフもお気に入りだという屋内マーケット”Torvehallerne KBH”を覗いてみることにしました。色々なレストランのシェフが有機野菜などを求めて通われているそうです。
「市場」とは思えないほど、おしゃれで明るいガラス張りの空間です。
中に入ってみると、初めて見る野菜やハーブがずらりと並んだ八百屋さんを発見。
中でも、気になったのがこちらの野菜。「海藻かなあ?」と店員のお兄さんに尋ねてみました。
「海藻ではなくて、海の近くに生えている野菜。食べてみていいよ」と言ってくれたので、皆で試食してみると、かなりしょっぱく、とても美味しい!世の中にはまだまだ知らない、不思議なものがたくさんありますね。
(こちらは、帰国してから調べてみると「アッケシソウ」(厚岸草)という名前で、日本でも北海道など寒い地域で生育しているようです。)
他にもコールドプレスジュースやグラノーラのお店、エスコヤマも2013年から毎年出品し、金賞を受賞しているチョコレートのコンクールInternational Chocolate Awards(「インターナショナル・チョコレート・アワーズ」)のスカンジナビア大会で受賞しているショコラトリーがあったり(ラクリッツ:甘草を使ったチョコレートで受賞していました)、食のトレンド、最先端をここで体験できると言ってもおかしくありません。
そのショコラトリーの隣に、レネシェフも行きつけの「コーヒー・コレクティヴ」があり、たくさんの人で賑わっていました。
世界でも数台しかない、小山シェフも最近お気に入りだというエスプレッソマシーンが置いてあります。 シングルオリジンのコーヒーを、ハンドドリップではなく、この機械で淹れたカフェラテは美味しいぞ、とシェフがおっしゃっていたので、店員さんに「ハンドドリップではなくて、この機械で淹れたシングルオリジンのコーヒーが飲みたい」と説明すると、「パーフェクトな選択だね」と笑顔で答えてくれます。 この日のシングルオリジンは「ゲイシャ」でした。
その他も、魚のすり身の天ぷらのような「フィッシュケーク」や、立派なホワイトアスパラ、そして日本製の包丁などを売っているお店もあり、あれもこれもと見ているうちにあっという間に1時間が過ぎました。
どのお店でも、スタッフの方は素敵な笑顔で英語ですらすら話してくれました。その自然な対応がとても気持ちよかったです。
11時前になり、そろそろnomaへと向かうことになりました。コペンハーゲンも、オランダのアムステルダムのような“運河の街”です。お腹を減らすのと、コペンハーゲン市内観光も兼ねて歩いていくことに。 約3kmほどの道のりを少し速足で、インテリアショップや、王宮なども見ながら歩きます。
雪国ならではの広い道路で、自転車(一輪車)の人も多いです。
そして、歩くこと30分、ついにnomaに到着!!1800年代に建てられた倉庫だった建物をリノベーションして造られています。建物もシンプルで無骨な感じでかっこいいですね。
予約の12時にはまだ余裕があったので、周りを探索。運河を挟んで向こう岸は、よく絵葉書にもなっている「ニューハウン」という地域で、カラフルな家が運河沿いに立ち並んでいます。
お庭には、蜜蜂の巣箱があり、たくさんの蜂が飛んでいました。
(エスコヤマでも蜜蜂を飼って、蜂蜜を採ろうとしたことがありましたが、なかなか難しいようです…)
そして、皆で記念撮影。
そうこうしていると、店内から日本人のソムリエ・兼子さんが出てきてくださいました。
小山シェフと兼子さんは、noma東京以来の再会です!
あいにく、レネシェフは奥様のお誕生日でロンドンへ行かれており留守でしたが
「今日、お店にいるシェフ達に任せてください!」と自信満々で迎えてくださいました。
そして、一番乗りで店内へ!