2日目、5月13日のレポートをさせて頂きます、プティガトー担当の橋本です。
私は入社して2年目となり、今回海外研修に初めて参加させていただきました。
去年、自分は国内研修だったのですが、先輩方が研修旅行で刺激を受けられ、帰国後、とても意欲的に仕事に取り組まれる姿を見て、自分だったらどこに行って、何を見て、どんなモノを食べて勉強したいだろう?と考えた時、行き先にフランスが思い浮かんでいました。
というのも、去年、先輩からフレンチバスクの街・ビアリッツにある”Maison Adam”のマカロンをお土産でいただいたのが印象に残っていたからです。
日本のマカロンはガナッシュやコンフィチュール等、クリームがサンドされているのが主流ですが、いただいたマカロンはマカロンコックのみのタイプでした。
「元祖マカロン」と言われているそのお菓子はアーモンドの香りも高くてとても美味しく、まだまだ私の知らないお菓子の歴史がたくさんあるんだろうと思い、とても興味をそそられました。
そのため、今回の海外研修の行き先が、南フランスだと聞いて、大変嬉しかったです。
2日目は南仏のプロヴァンスの中心的な街・アヴィニョンで、この都市の方々がどんな暮らしを送っているのか垣間見る事が出来ました。
1日目、パリ・シャルル・ド・ゴール空港のホテルに宿泊した私達は、2日目の朝、6時過ぎに駅に集合しました。
しばらくすると、別のホテルに泊まられていた、前日にコペンハーゲンに行かれていた小山シェフと3名のスタッフ、添乗員の蔵本さんも合流。ようやく今回の研修旅行参加者の全員が揃いました。
アヴィニョンへは、最も便利なTGV(フランスの新幹線のような列車)で3時間程かけてアヴィニョン駅へ向かいます。
ここで、この研修旅行で最大とも言えるミッションがやってきました。停車時間4分間という限られた時間内に、60人全員分の1週間分の荷物が詰まった重いスーツケースを車内に運び入れなければいけません。
絶対に失敗できないため、出発前、日本にいる時から、今回の旅行の「荷物隊長」の桂川さんを筆頭に、男性スタッフが中心となって、どのようにすればスムーズに積み込めるか?列車の中でスーツケースを置ける位置はどこにあって、それぞれ何個くらい入るのか?人の動きは?等々、色々な角度からシュミレーションを行っていました。
いよいよその本番です!
列車を待つ間は、皆のスーツケースをホームの一箇所に集め、「女性陣は、4号車と5号車から先に乗りこんでください。その後、男性陣は皆のスーツケースを運び入れます。その後、きちんと全員が自分のスーツケースが乗っているかどうかを一人ずつ確認に行くこと!」と何度も、確認をしました。荷物の積み残しや、乗り遅れがあっては大変です。
いよいよ、私達が乗る列車・TGV5102号がホームに入ってきて、緊張が走ります。
列車の扉が開くと、ぼんやりしている時間はありません。
60人全員で声を掛け合い、限られた時間で無事、全員分の荷物を乗せ、誰一人置いてけぼりになることもなく、列車に乗りこめました。
発車後も、全員乗っているか名簿をチェックしながら確認する人、荷物が崩れないように安定よくなるよう位置を調整する人、たくさんのスタッフが休まず働いてくださっていました。
私は荷物係の方々が、出発前からずっと準備をしてくださっていたことは知っていましたが、自分自身は、指示を聞いてその通りに動くだけになってしまっていました。
エスコヤマでの業務中も、私の知らないところで様々な方が色々なことを考え、皆が仕事しやすいようにしてくださっているのだと思います。そういうことにもっと気付き、感謝しなければいけませんし、自分も「する」方の立場にならないといけないと考えました。
また、普段の仕事の中でも流れを考え、時間を意識しながら動くことは多々ありますが、イレギュラーがあった時にも、今日のようにとっさの判断や声掛けをし合う事もすごく重要だと考えました。
10:10にはアヴィニョンに到着!とても良いお天気です!
そこからはバスに乗って、1985年にユネスコ世界遺産に登録された水道橋「ポンデュガール」に向かいました。
アヴィニョンの駅からは30分ほどで到着しました。
バスを降りてから、きれいな公園のような中を5分程歩くと、「ポンデュガール」の姿が見えてきます。
まずはその壮大さに圧倒されました。
紀元50年頃、ユゼスの水源からニームへと、約50㎞の用水路として建設されたポンデュガール。600年以上に渡って飲料水を運ぶ水道橋として活躍したそうです。
通路の1段目は車も通る事が出来たので、私達も実際に通路を歩いてみました。
遠くから見るポンデュガールも素敵ですが、水路の真下から見るのも圧巻!!
時代を経ても壊れずに持ちこたえてきて現在に至るという事を聞き、ローマ人の建築技術のレベルの高さに驚かされました。ここで、全員で集合写真を撮りました。
近くにあった売店でアイスクリームを食べたり、川沿いを歩いてみたり…と思い思いに30分程滞在した私達はバスに戻り、アヴィニョンへ向かいました。
アヴィニョンに戻ってからはモランさんのラボに行くかアヴィニョンの街を自由散策するかを選択できました。
モランさんは、エスコヤマにもクーベルチュールを提供してくださっている、ドンセールという街にある小さなショコラトリーです。代々に渡ってチョコレートを作られています。どちらも魅力的でしたが、私はアヴィニョンでフリータイムを過ごす事にしました。
ホテルにチェックインしてからすぐ、数人で集まり、街へと出掛けました。
エスコヤマのスタッフは部署が違っても、普段から仕事をしていく上で協力し合ったり、話をする機会があるため、誰とでもチームになって出掛ける事ができます。
この日は、未来製作所の千葉さん、ブーランジュリーの辻岡さん、お菓子教室の日高さん、マルシェの茨木さんと政所さん、hanareの宮澤さん、ミュゼの里井さん、私の計8人で行動しました。
中世の城壁に囲まれたアヴィニョンは、地元の方だけでなく、観光客も多く歩いていました。
ストリートにはオープンカフェのテラスなども多くあり、子供から年配の方まで多くの方が座ってゆったりとされていました。
しばらく歩くと、メインストリートの先に大きなメリーゴーランドが出現!とても賑やかです。
私達も、早速メインストリートで開放的な雰囲気の中、パエリアやパスタ、ピザ等を注文し、シェアしながらランチをとりました。店員さんは「1人前だよ!」と言っていましたが、シェアしても充分な大きさでした。
魚介のパエリアはみんな絶賛していました。
ランチの後は、1309年から1377年まで7代に渡ってキリスト教の教皇が住んでいた世界遺産の教皇庁や、これまた世界遺産の「アヴィニョン橋」を遠くから眺めたりしました。
他にも雑貨屋やお菓子屋さん等、様々なお店を見て周りました。
まるでブティックの様なアイスクリーム屋さんは、色とりどりのアイスクリームが50種類以上並び、選ぶのに迷いました。ピスタチオやカシスなど、日本ではまだあまり見かけない味もたくさんありましたが、私はヨーグルト味にしました。酸味が強めでしたが、美味しかったです。他の皆は、バニラやチョコレートなどを買っていたので、皆でシェアしました。
カップとコーン、どちらに入れるかを選べるのですが、カップもカラフルで、可愛かったです。
あっという間に時間は19時。この時期、ヨーロッパはこの時間でもまだまだ明るいです。
夕食は添乗員の松下さんが調べて下さっていたレストランの中から、チーズ専門のレストランに行く事にしました。
普段の仕事の中で、クリームチーズやマスカルポーネチーズなどチーズを取り扱う機会が多い私達は、チーズ好きなスタッフも多いです。
デコレーションの田中さんと、hanareの佐藤さんという、お昼とはまた違う顔ぶれで集まりました。
クリーミーなモッツァレラチーズから、クセのある山羊のチーズまで、色々なメニューで楽しみました。
山羊のチーズは独特のクセがあって苦手だと言う人もいましたが、私は美味しくいただきました。モッツァレラは日本のものよりもよりクリーミーで、乳の味が強く感じられ、特に美味しかったです。
日頃から、小山シェフは「美味しいものに出会ったとき、美味しくないものに出会ったとき、その味の仕組みを分析するように」とおっしゃいます。普段から、もっともっと意識して、味覚を磨いていかなければいけません。
私が日々、携わらせていただいているお菓子作りでも、「味のデザイン」が出来ることは、美味しいお菓子を作る上で、とても重要なことです。
パティシエールとして、ケーキ・焼き菓子・ショコラなど、ありとあらゆる「お菓子」について研究し、様々な素材の味や食感の記憶、お菓子を作るための知識や技術等、まずは基礎をきちんとして、成長していきたいと思いました。