中川さんに引き続き、フレデリック・アヴェッカーさんのデモンストレーションのレポートをさせていただきます、生ケーキ担当の永井孝典です。
中川さんのレポートにもあったように、アヴェッカーさんは、ショコラ部門でMOFを取得された方と言うこともあり、どんなお菓子を作ってくださるのか、とても楽しみにしていました。
今回は、クーベルチュール(チョコレートの原料)を作っている「ショコラトリー・ド・オペラ社」を会場に、講習会をしてくださいました。
私は、6月に、あるコンクールへの出品を予定していましたので、素材の使い方・組み合わせ方などを特に勉強したいと考えていました。
デモンストレーションのメニューはどのメニューもチョコレートの作品です。
アヴェッカーさんがお話されたことは、通訳の平野さんが同時通訳して私達に伝えてくださり、
エスコヤマのお菓子教室と同じように、アヴェッカーさんの手元は、モニターでも見ることができます。
私は小山シェフのコメントなどもよく聞きたかったのと、モニターだけでなく間近で手元を見たい、と考え、最前列に座らせていただきました。
助手を務められていた、アヴェッカーさんのお店のスタッフ・クレモンさんは、ショコラのコンクールのジュニア部門で優勝された、21歳の方でした。
まず一品目は、
『BARRE PROVENCALE(プロヴァンス風チョコレートバー)』から始まりました。
ラベンダーの香りを移したアプリコットのジュレとアーモンドのプラリネを、チョコレートコーティングをした型の中に入れ、刻んだアーモンド、アプリコット、ピスタチオとミルクチョコを混ぜて上に乗せていきます。
ラベンダーはフランス、特にプロヴァンス地方を代表する香りだと説明していただきました。
重そうな構成だと思いきや、アプリコットの酸味や、後から追っかけてくるラベンダーの香りと全体のバランスが良く、実はあまりラベンダーの香りが得意でない私でも、ついパクパクと口に入れてしまいました。
一品目の作品からいきなり衝撃を受けました。
続いて、『ENTREMET BELLE-HELENE CUBIQUE』(ベル・エレーヌ(洋梨)のキューブ型アントルメ)です。
センターのビスキュイショコラの上に梨のキャラメルとキャラメリゼした梨を混ぜたものを塗り、ビスキュイショコラを更に乗せます。
キューブ状の型にショコラキャラメルのムースを流し、固めたセンターを縦にしていれます。
飾りは洋梨のキャラメリゼを型で固めたものです。洋梨とキャラメルとチョコレートがバランスよく、見た目にもおもしろいお菓子でした。私が普段作っている生ケーキに比べ、ベースの温度が高かったり、生クリームもしっかり立てたりしていて勉強になりました。
そして最後は、『ENTREMET AUX PARFUMS D'HIVER(冬の香りのアントルメ)』。
スイートチョコレートのムース、シナモンやナツメグ、アニス、クローブなどの香辛料を使ったサブレ「スペキュロス」を砕き、軽いミルクチョコレートのムースの中に入れます。
ヘーゼルナッツのプラリネとチョコレートのなめらかな中に、スペキュロスの食感がアクセントが加えられ、濃厚なのに軽い食感のお菓子でした。
今回のデモンストレーションを通して印象的だったのは、アヴェッカーさんの「香りの使い方」です。
また、一品の中でも軽さと重さの強弱・メリハリもはっきりしており、私自身も新作を考えるときなどこのような点で工夫してみたいと思いました。
デモンストレーションが終わると、13時になっていました。
階下に降りると、アヴェッカーさんのお店で作っていただいたトマトやほうれん草のキッシュやサンドイッチが盛りだくさんに用意されていました!!
午前中のお店見学の際に、とても良い香りを漂わせながら焼けているのを見学させていただいていたときから、とても美味しそうで、食べたくてしょうがなかったので、みんな「わあ!あそこで焼いてたタルト!!」と大喜びでいただきました。野菜の味が濃縮されていて、食べごたえのある美味しさでした。
毎年、海外研修中にこういった、普段自分ではなかなか関われないような方から直接教えていただく機会をいただきます。
色々なシェフの作り方、考え方、想いなど伺えて、すごく勉強になります。
アヴェッカーさんは、伝統を引き継ぎつつ、新しいことにも積極的に取り組んでいらっしゃいました。
また、後輩に惜しみなく教え、自分自身も日々勉強し続けて追及するという部分も、小山シェフとも似ていらっしゃると感じました。
私は、新商品を提案させていただいたりする機会もありますが、
まだまだ、最初から小山シェフに「それ、美味しそうやな!」と言っていただけることが殆どありません。
コンクールにどんな作品を出品するか、ということと、「美味しそう、食べてみたい」と思っていただける新商品を提案できることは、同じことだと思います。
小山シェフの考え方をもっと普段からしっかりと学び、いろんなことを本当に理解できれば、周りから求められるものと自分が創り出していくものが合致していくと思います。
まずは小山シェフの商品の生み出し方・作り方、考え方などをきちんと理解していけるよう、日々精進していきます。