こんにちは。小山ロール担当の内海 祐輝です。5月17日、研修旅行最終日は午前中からLanceのシャンパンシャトー見学に出かけ 夜はパリ11区マレ地区の「クラウンバー」に小山シェフとご一緒させていただきました。メンバーは、小山シェフ、小山ロール担当の明比さん、マルシェ担当の岸本 将治さん、生ケーキ担当の岸田さんと、私です。そして、この日は特別に、小山シェフのご友人でもある、パリのレストラン「TOYO」のオーナーシェフ、中山豊光シェフも来てくださり、賑やかな食事になりました。(中山シェフは、クラウンバーの渥美シェフが以前、TOYOで働かれていたということもあり、ご一緒することになりました。)
この日はフランスの4連休 最終日の夜とあってパリ・リヨン駅前には帰省帰りの人が溢れていました。岸本さんと岸田さんがタクシーを拾いに行ってくれましたがなかなか見つかりませんでした。お店の場所は、以前の研修旅行の時に近くを通ったような記憶があったのと、パリの地図とガイドブックで場所を見てみるとからホテルからも比較的近いように思いました。待ち合わせの時間まであまり余裕がなかったのでとりあえず走って行こう!ということになりました。(後で距離を調べてみると2.2㎞くらいでした。)
途中で運良くタクシーを拾い、約束の時間に何とか間に合うことが出来ました。
クラウンバーに到着。たくさんの人で賑わっています。クラウンバーは、1917年創業の老舗ですが、2014年に渥美創太シェフが就任され、今や予約もなかなか取れない大人気のお店です。
店名の「クラウン」とは、サーカスのピエロのこと。お店の隣には「冬のサーカス(Cirque d’Hiver)」があり、20世紀初頭にはサーカス関係者が集ったこともあり、内装の壁や天井の絵はサーカスがモチーフになっていました。店名の一部は歴史的建造物として保護されているそうで、レトロな雰囲気が印象的な建物でした。
お客様の中には日本人も多数いらっしゃいました。その中に エスコヤマスタッフの岡田さん、岸本 幸大さんの姿もありました。
席は一杯に埋まり、店内には音楽が流れ、とても賑やかです。「すごく活気があるな。次々に人が集まってくる。23時以降になると、続々と料理人達が来店し、真夜中になると料理人ばっかりになることもある。ショコラティエのジャック・ジュナン氏や、ジャン=ポール・エヴァン氏も週に一度は訪れるらしい」と小山シェフもおっしゃっていました。
食事が運ばれてきましたがテーブルの上にはナイフやフォークがありません。各テーブルについている、引き出しを開けるとナイフ、フォーク、スプーンが綺麗に入っていました。
食事中には色々とお話を楽しませていただきましたが、その中でも印象に残ったのは今、小山シェフがよく行かれているお店のシェフは、病気で舌にハンディを負われてしまったけれども、そこからなにクソと大変な努力をされて、とてもおいしい料理を出されているということです。
また、小山シェフがお知り合いの方から聞いた話によると、サンセバスチャンのお寿司屋さん「Kenji Sushi Bar」の方は、ご自身で漁船に一緒に乗り、漁師さんに 魚の〆方を知ってもらい、自分の使いたい魚の状態になる様に一緒に時間をかけていった結果、おいしいお寿司が出せる様になったのだそうです。小山シェフも、バールの中で食べたお寿司が思いがけず美味しく、その味からするとその噂も本当のことかもしれないと思った、とおっしゃっていました。
今、エスコヤマで使っている三田産の苺も同じで、 初めはシェフがおいしいと思う苺を生産者の方に理解していただき、栽培方法などを改善していただき、今はおいしい苺を提供していただいています。
美味しいものを創るためには、やはり、まずはイメージを自分がしっかりと持つこと、そしてそれをきちんと伝えることが不可欠なんだと改めて感じました。
この日いただいたお料理です。
ブイヨンと牡蠣の入った一品ですが、カキのまろやかさと後口に残るセロリの味わいで あっさりと食べられました。
タラのような白身魚と、旬のアスパラガスを使った一品です。旨味がしっかりしているアスパラガスと、2種のソースの絡みが良かったです。
サーブされたときに、鳩の足に目がいってしまいました。リヨンの市場でもニワトリの頭がそのまま売られているところは見ていましたが、実際に出てくるとついつい驚いて見てしまいます。
でも美味しくいただきました。
どの料理も美味しく食べやすいものでしたが鰹の切り身がブイヨンに浸かり濃厚なサバイヨンがのせられた一品がとても美味しかったです。
ワインはビオワインが出されていました。ビオワインについて私自身は有機栽培のブドウを使ったワインという位しか知識がありませんでした。
小山シェフから、コペンハーゲンのレストランnomaのスタッフが日本に滞在された時、ビオワインが置いてあるお店を調べてリストアップし、順番に行かれていたというお話をうかがいました。
ビオワイン=オーガニックの考えから、有機野菜などのこだわりの野菜を扱っていると考え、そのようなお店を選んで行かれていたのではないか、日本の野菜のレベル、新しい素材を見に出かけられたのかな、などと考えました。
シャンパンにしても私は普段から飲み慣れていないので、その日のシャトー見学の際に、飲む時のポイントを教えていただいた話をしました。シャンパングラスの底には、泡を発生させるための細かい傷がつけてあることを中山シェフが話されると、小山シェフがグラスの型によっても泡立ちが違うこと。また、以前、小山シェフが知り合いの女優さんと会食をされた際に、“泡の音を聞いてから飲んでください”と勧められたということをおっしゃっていました。「音を聞く」という発想は自分にはなかったですが、やはり味だけでなく五感で感じることが大切な飲み物なのだと思います。中山シェフと小山シェフのやり取りから、どんどん話が広がり、普段なかなか聞けない秘話なども伺う事ができて、とても楽しかったです。
クラウンバーの厨房も見せていただきました。二人入ると一杯になってしまうくらいの広さの中で約50席あるオーダーをテキパキとこなされていました。
こちらの渥美シェフは元々「ヴィヴァン・ターブル」や「TOYO」で活躍されていただけあって、クラシックなフレンチからコンテンポラリーな料理まで精通されています。またランチも提供されていると話されていて小山シェフも「一体、 いつ休むんだ?」とびっくりされていました。
今回の会食は中山シェフがご一緒だったこともあり、食事のオーダーを助けていただいたり、食事中の会話も多岐にわたるレベルの高い話を楽しませていただきました。
日本に帰ってから雑誌やインターネットの記事を読み、大変注目されているビストロに連れて行っていただいたことがよくわかりました。
改めて小山シェフは、お菓子や料理など、食の知識だけではなく、その周りの知識も豊富で、私に至っては、ただただお話を聞くだけでした。これからは 色々な知識をしっかり持つ事で、内容がわかって話に参加が出来る様に、また後輩と食事をしたりする際にも先輩らしく色々な面白い話ができるように普段から勉強していきたいと思います。