研修旅行2日目午後のChocolaterie A.Morin訪問のレポートを担当させていただきます広報室の伊藤 貴博です。
研修旅行2日目の午後は、今回の訪問先の中で“1番の目玉”とも言える、フランス南部の町ドンゼールにあるモランさんの工房見学。訪問させていただいたのは、小山シェフ、幹部スタッフ、ショコラティエール、ショコラティエ、パティシエや私を含めて13名。そして、今回の旅をサポートして下さっているチームトラベルクラモトの蔵本さんと、ナビゲーターの平野さんです。残る方々は、アヴィニョンの街の散策へ。(午前にスタッフ全員で訪れたアヴィニョンについては、橋本のレポートに詳しく書かれていますので、そちらをご覧ください。)
(研修旅行記:http://www.es-koyama.com/travel.html)
先に皆さんにお伝えしておきたいのは、モランさんは私たちにとっては美味しいチョコレート原料(クーベルチュール)を提供して下さっている方(地元の方々にとっては、美味しい板チョコやチョコレート菓子を作って販売しているお店、という感覚でしょう)であり、そのチョコレートは、小山シェフも「それぞれの特長がしっかりしていて、すごく美味しい」とおっしゃっているということです。
エスコヤマのボンボンショコラやタブレットにも数種類使わせていただいており(しかも全て個人輸入なんです!)、それらはもちろん個性豊かなものばかりですので、バスに乗り込んだ時から、いや、この旅行に出発する前から、「モランさんのチョコレートの“美味しさの秘密”を知りたい!」と、とてもワクワクしていました。
緑が広がる景色を楽しみながら、バスで揺られて1時間強。
多くのスタッフは疲れが抜けないのか、スヤスヤ…。私はテンションも上がって全く眠気はありませんでした。
そして、「Donzère」と書かれた標識を横目にしばらく行くと、風景は“町”へと変わります。そして、町の中に「CHOCOLATERIE A.MORIN」の案内標識が!テンション上がります!
そしてまたしばらく進んでいくと、今度は町から林の中へ。角を曲がった先にあったのは再び「CHOCOLATERIE A.MORIN」の矢印の形をした案内標識でした。
そして、道路か畦道か、よくわからない道を突き進む大型バス。
道の左右には、モランさん所有のアーモンド畑(といっても立派な木々なのです)が、ずーっと奥まで広がっていました。事前にネットで調べた時に見ていた風景が目の前広がり、「ついに来たなぁ~」と感慨深かったです。
ですが……、研修本番はここから。しっかりと学ばなければ意味がありません。
そうこうしているうちに、バスが止まりました。
「知りたい!」という思いと「レポートを書かないと!」という思い、そしてとあるテレビ番組からもビデオを回すよう依頼も受けており、自分の中でいろいろいろな考えが交差して、ちょっと複雑な気持ち。しかし、「研修である以上、自分の役割をしっかり果たさねば!」と気合を入れてバスを降りました。
ビデオを用意し、首からはカメラをひっさげ、リュックを背負い、手にはノートとボールペン。見た目は完全に鉄ちゃんスタイルです。
出迎えて下さったのは、モランさんご一家。
お父様、お母様、モランさんと、妹さんと思しき女性……(この女性のことは最後まで分かりませんでした)。
お庭?というには広大過ぎますが、工房の傍にテントが設置され、「あそこでいろいろと教えていただけるんだな」と勉強スイッチが入りました。
でもその前に、ウェルカムドリンクならぬ、ウェルカムチェリー!器の上にキレイに盛り付けられた採れたてのチェリーの山。その他、テーブルにはお水やコーヒーもご用意してくださっていました。
「これはあそこから採ったんだよ」とモランさんのお父様が指差した先にチェリーがたくさん実った大きなの樹が!早速みんなでいただきました。小山シェフも「美味しい!」と言いながらパクパク。そして一番近くにあった樹からも、「こっちの方が美味しいな」なんておっしゃいながら、自らの手でもぎとって採れたてを食べてらっしゃいました。
そして、小山シェフは「このチェリーの品種は?」と平野さんを介して質問。いただいているチェリーはビガロー種であることが分かりました。
「ビガローか。よくドレンチェリーにされたやつを見るやろ」とスタッフに伝える小山シェフ。
「ビガローは酸味が強いから砂糖漬けにしないと食べられないと思っていたけど、これは美味しいな」と意外な様子でした。さらに、小山シェフは「これがこんなに美味しいんだから、日本に入ってきているダークチェリーももっと美味しいものがあるんじゃないかな」とポツリ。美味しい素材は、私たちの素材に対するイメージを更新してくれます。
私はビガローと言われてもまったくピンとこず、サクランボであれば日本の「紅さやか」や「高砂」「佐藤錦」などエスコヤマのコンフィチュールのラインナップしか浮かびませんでした。ただ、後々調べてみると「高砂」は、英名で「ロックポートビガロー」ということが分かりました。これから「高砂」を食べるときは、モランさんのことを思い出しそうです。
改めて思ったのは、やはり何でも「新鮮な物は美味しい」ということ。これは当たり前のことですが、普段目する素材でも、いくら今まで食べていたからと言って、今食べているものが「全く同じ味」とは限りませんし、「素材の本当の味」というのは、新鮮で本当に良い状態の物を食べてみなければわかりません。
だから、小山シェフをはじめ、第一線で活躍されている料理人の方々は、自分の腕を磨き、様々な技法を駆使して、お菓子や料理で「本当の味」をどう表現するか、という点に力を注ぎ、日々努力をされているんだなと思いました。この時のチェリーは、モランさんご一家のおもてなしの心も美味しい調味料になり、記憶に残る味となりました。
さて、ここからメインのお話。
テントの下に用意してくださっていたベンチに各々が着席し、まずはモランさんが、スライドショーや動画を交えてこのショコラトリーの歴史をお話ししてくださいました。
1884年、この場所でモランさんの曽祖父に当たる方が、チョコレート菓子を作り始めたことが始まりでした。そして、1958年に本格的にチョコレートの工房を設立。立ち上げた当初はアーモンド、ヘーゼルナッツ、グリオットチェリーなどの生産がメインでしたが、モランさんのお父様の代から本格的にチョコレートの製造に取り組み始められました。初めはブレンドが中心だったのが、製造を4代目のモランさんが担当されるようになってから、シングルオリジンのカカオを中心に扱い始めたそうです。
現在は、ペルーの中央部を中心としたカカオ産地に8つの契約農園を持ってらっしゃいます。そこでは、カカオを種の段階からセレクションし、害虫に強いものや実の大きいものなど、それぞれ個性の異なるカカオを栽培されています。単にカカオを買って、売ってという関係ではなく、それぞれの農園が抱えている問題をヒアリングし、根本から改善することに対しても協力されているので、最低でも1か月は現地に滞在し、非常に時間をかけてお付き合いをされているそうです。
ちなみに、エスコヤマで使わせていただいている「チャンチャマイヨ」は、100%オーガニック栽培。ここに至るまでは、非常に根気のいることだったのではないかと思います。
話は戻りますが、ペルーのカカオ農園はモランさんが行かれる前は、カカオバターとココア用としての生産が主でした。そこへモランさんが醗酵技術を持ち込み、今のようなシングルオリジンカカオとして、生産ができるようになっているそうです。
小山シェフが様々なフルーツや和素材などの素材を、食品加工業者さんに依頼されてチョコレートに使える副材料に加工していただいて使われるように、その使い方を逆に生産者の方々に伝えることも、素材を使わせていただいている者の責任なのだと思いました。そうして、互いに「もっと良いものをつくりたい」という切磋琢磨が、モノづくりのレベルを上げていくのだと思います。
2014年に小山シェフが訪れたインドネシアもペルーと同じような状況です。今もまだその多くはココアやカカオバターを中心に扱われ、インドネシア産のシングルオリジンカカオはまだまだ市場では見られません。
コーヒーの業界では「サードウェーブ」と呼ばれる、“シングルオリジンコーヒー”という豆の個性を生かした製法で作られたコーヒー豆を扱うお店が増えているように、カカオも「シングルオリジン」が注目されてきています。しかし、まだまだそれはほんの一部で、「インドネシア」や「ガーナ」「ニカラグア」などのように、国名を冠した大きな括りで表記されるに留まっています。裏を返せば、まだまだ多くの可能性を秘めているとも言えます。その可能性を広げる活動をされているのが、モランさんであったり、カカオハンター®の小方さんであったりするのです。
小山シェフが新しいチョコレートを生み出し続けるのも、その方々の思いを知ってらっしゃるからだと思いますし、そういった意識を持ってらっしゃる方々が生み出すチョコレートは美味しくないわけがないからだと思います(小方さんのチョコレートもモランさんのチョコレートも本当に美味しいです)。だから、産地の皆さんが創り出す、高いポテンシャルを持った未知なる素晴らしいカカオを知れば、美味しいチョコレートを生み出さずにはいられないのだと思います。
さて、座学に続いて今度はテイスティングタイム。
テーブルの上に置かれた様々な国のカカオ豆、カカオニブ、カカオリカー、そして砂糖。
なぜ砂糖があるかというと、ひと口に“砂糖”といっても一般的にお菓子に一番たくさん使用されているグラニュー糖をはじめ、和三盆や三温糖、素焚糖、黒糖など、砂糖も産地や精製度合いによって甘みの感じ方が違います。モランさんはカカオの特長によっては未精製の砂糖を使用されたり、また産地の違う砂糖を使用したりと、そこまで選んでチョコレート作りに取り組んでらっしゃるのです。
ベネズエラ、ペルー、エクアドル、ニカラグア、ジャマイカ、それぞれのカカオニブやカカオリカーを味わってみて、この味はタブレットになるとどうなるのか、砂糖は何%でどの砂糖がポテンシャルを一番引き出せるのか……。「小山シェフは今、そういうことを考えてらっしゃるのだろうか」と考えてはみたものの、自分自身にアイデアが浮かぶわけはありません。自分の経験した味から引き出せる言葉もないのです。
味覚を向上させるには、とにかく美味しいものを食べ、なぜ美味しいのかを知る事、これにつきます。星付きのお店へ行って、という投資も必要ですが、身近なもので出来る事とすれば、年間800種類は超えるエスコヤマのお菓子をただ「美味しい」と思って食べるだけではなく、美味しい理由をもっと考えよう、そう思いました。
そして、出てきましたクーベルチュール!(専門用語として、チョコレート原料をこう呼びます)
ペルーの産地でも名前の違うものが3つ、チャンチャマイヨと〇〇と〇〇と……(〇〇は今後エスコヤマのラインナップとして登場するかもしれませんので、乞うご期待)、さらにはチャンチャマイヨの砂糖が異なるバージョンや、チャンチャマイヨのミルクも!!チャンチャマイヨのミルクは小山シェフも気に入られたようでした。確かに、ミルクなのにカカオ感が強く、酸味も残っていて美味でした。
いただいた中には、もの凄くフルーティでチャンチャマイヨとはまた違った酸味とアロマがあるものも……。小山シェフが「これ、ええな!」とおっしゃったものもありました。
そこですぐに「これ仕入れられませんか?」と交渉開始。鉄は熱いうちに打て、とはこのことです。伝わるエネルギーも違います。市場へ行くと、「美味しい!これ頂戴!」なんてやりとりが、生産者と購買者の一番良いカタチですよね。美味しいものはすぐに使いたくなるのがホンモノの職人だと思います。そこには高い技術も必要ですが、熱い思いがあって、それは高い目標となり、その実現に向かって努力するから技術も身についていくのだと思います。私の場合は、広報として、小山シェフの言葉を文章にして外にも社内にも発信する場面もよくありますが、「もっと分かりやすく伝わるような表現ができないか」試行錯誤の連続です。
また、私は業務上、テレビ局や雑誌社の担当の方に、小山シェフに代わって「思い」を伝える立場にあります。そのとき、小山シェフから「熱を伝えることが大事なんや!」とご指摘をいただくことが多々あります。目の前のことにかかりっきりになり、優先順位を間違えて後回しにしてしまうと、熱はどんどん冷めていき、本人の言葉でない分、ただでさえ伝わりにくいのにますます伝わらなくなってしまうのが関の山です。「すぐに伝える」「熱も込めて伝える」というお手本を目の前で改めて見て、日々の自分の仕事の取り組み方も反省しました。
この時、それ以外にスタッフに向けて小山シェフがおっしゃっていたのは、
「『なぜ、この2つを欲しいと思ったか』が大事。それを知るためにはもっと食べないと」ということです。とにかく好奇心を持って食べる。そして、「なぜ美味しいのか」を考えることです。
エスコヤマの中にはたくさんのお菓子があり、ありがたいことにそれぞれがたくさんのお客様に支持をいただいています。世界で高く評価されているチョコレートもあります。ではなぜそのお菓子が支持され続けているのか、なぜチョコレートが世界一になるのか、身の回りにあるレベルの高い教材ともいえるお菓子から、まず知ろうとしなければ海外で学んだとしても、真似事になってしまいます。今の時代、真似事では到底通用しません。世界でも最高の評価を得ている小山シェフの味覚の「なぜ」をまず知ろうとする努力をしなければいけないと改めて思いました。また、広報として、スタッフの皆さんにもこのことをもっとしっかりと伝えていかなければいけないなと思いました。
さてさて、いろいろな原料を食べさせていただきまして、というか「食べたい」とリクエストすればどんどん出してくださるそのサービス精神にも脱帽ですが、続いては念願の工房見学!!!
未だカメラも潜入したことが無いという、モランさんの工房へカメラが初潜入!! というわけにはいきませんでした。工房内はもちろん企業秘密。モランさんのチョコレートの美味しさの秘密がたくさんの人に広まってしまっては、モランさんも商売あがったりです(簡単にマネできるものではないということは周知の事実ですが)。そこはもちろん理解して、写真撮影は無し(臨場感は文章力でカバー!)で工房を見学させていただきました。
中へ入ると早速、大きなロースター(カカオ豆を焙炒する機械)がグルグルと、大きな音を鳴らして回転しています。カカオ豆をコーヒー豆を焙煎するのと同じように回されているのです。カカオ豆にしっかり火が入っているか、機械が判断するのではなく、香りと舌で確認します。焙煎が完了する前、完了後のカカオを食べ比べさせていただきましたが、もちろん全く味は異なりました。豆に含まれる水分量も、産地の気候に左右されますので一概に焙炒の時間は〇分とは言えないそうです。
小山シェフもこの工程を見られて、「料理と一緒やな」とおっしゃっていましたが、やはり「美味しい」と感じるものは全てピンポイントで合わせてこそ、本当の美味しさが引き出せるのです。カカオも火を入れ過ぎてはもちろんダメですが、水分量を残し過ぎるのはもっとダメ。「ここ!」というタイミングでなければ、美味しいチョコレートになるカカオ豆は生まれません。それよりも前に、カカオそのものが良いカカオでなければいけないのです。料理もいくら技術を駆使しても、素材が美味しくなければ美味しい料理が出来上がるわけがありません。そんな当たり前のことを考えた瞬間でした。
そして中へ進むと……、さまざまな機械音と共に年代モノと思しき機械の数々。
タブレットの型にチョコレートを流している機械やコンチングのマシン、カカオマス(焙炒後のカカオ豆を砕いたカカオニブをさらに細かくすりつぶしてペーストのような状態にしたもの)と砂糖を合わせる機械など、もちろん初めて見る機械ばかりで、まさしく「ザ・チョコレート工場」という雰囲気で、面白かったです。
モランさんが、このドンゼールという街でなぜ、ショコラトリーをされているのか?という質問をしたところ、
① 昔、カカオや砂糖などの輸入品はマルセイユ港に到着し、そこから列車で各地へと運ばれていました。従って、南仏の中でも国鉄が走っていた路線沿いに広まったのではないか。
② チョコレートの製造には大掛かりな機械が必要なので、それを動かすには大きな電力も必要です。水力発電が主流だった当時は川沿いに電力施設が多かったため、ローヌ川(全長812km。フランスを流れる四大河川のうちの一つで、最大規模)沿いに発達したのではないか。
という二つの仮説を教えて下さいましたが、実際のところはっきりしたことはわからないそうです。
工房は、本当に先祖代々使ってらっしゃるんだなぁと見て分かる機械ばかりでしたが、近々設備の近代化も考えてらっしゃるそうで、「いくら機械化して効率が上がっても、味や品質の面など、守らなければいけない部分もあるからそのバランスはしっかり考えていかなければいけないと思っている」とモランさんはおっしゃっていました。「伝統と革新」は常にセットだというのは、お菓子にしても料理にしても、技術にしてもどれも同じです。
また、中では単にチョコレートだけでなく、ヌガーや自家農園で栽培されたナッツを使ったお菓子も製造されていました。小山シェフをはじめ、スタッフ皆が「あれ美味しそう」と口々に言っていたら、テレパシーが通じたのか、試食をさせていただきました。
「うま~!」「ナッツ美味しいなぁ!」と皆笑顔が絶えません。カリッとして、ナッツのふくよかな甘味がクセになりそうで、たまりませんでした。「お土産に絶対これを買おう!」そう決めた瞬間でした(笑)。
その他、今年収穫予定の豆のうち、本輸入する前の豆をチェックするテイスティング用の部屋や、タブレットに流し込んだチョコレートから気泡を抜くために型を振動させる機械(これはめっちゃ古いと思います)があったりと、いろいろな機械や出来上がったお菓子が置いてありました。
そして、カカオの香り漂う空間を後にして、工房見学終了。
工房はショップに繋がっていたのですが、その先にあったのが、木製の巨大な機械。昔使用されていた、カカオニブとカカオの外皮(ハスク)を分別するものでした(もみ殻を飛ばして分別する“唐箕(とうみ)”のような物です)。まだ動かすことが出来るそうで、「物持ちいいな~」と感心してしまいました。
ショップで待っていたのはモランさんの奥様と最近生まれたばかりのモランさんのお子様。
小山シェフがモランさんへの報告も兼ねて、今年CCCに出品した作品をモランさんに試食していただいていました(ここだけの話、今年の出品作品の一つにモランさんのクーベルチュールを使用しています)。
このときのモランさんの感想は詳しくは書けませんので、ご想像にお任せしますが、生産者の方に「あなたのこれを使わせて頂いたら、こんなに美味しいものができました!」と報告ができたら、しかもそれが素晴らしく美味しかったら、絶対に生産者の方は喜んでくださいますよね。自分の場合は食べ物ではありませんが、文章においてもトピックスなどで、完成形からは見えない生産者の方々の裏の努力の部分まで伝えていけたら……、そんなモノづくりをしていきたいなと思いました。
表へ出ると、モランさんが小山シェフにお願いしたい、とご用意して下さっていたのが芳名帳。
これまで、モランさんの工房を訪れたショコラティエの方々からモランさんへ宛てたメッセージが刻まれています。小山シェフもこちらにメッセージを書かれていました。どんなメッセージだったのでしょうか???
時間は18時を過ぎた頃でしょうか(フランスのこの時期の18時は日本の夕方16時くらいの雰囲気で結構明るいんです)、全ての予定が終了し、念願のショップへ!
タブレットは「ブラジル」「ニカラグア」「ジャワ」「コスタリカ」「ハイチ(最近までカカオの産地と認識されていなかったそうです)」など、各国の物が揃っていました。そこにはなんと、メキシコの「ソコヌスコ」が!! ステファン・ボナさんのところにしかないと思っていましたが、モランさんも取り扱ってらっしゃったとは、驚きです。どんな味がするのでしょうか?!後で試食させていただいた時、小山シェフは「めっちゃ美味しい!!」と興奮気味だったことから、その美味しさが伝わります。また、中には「スイカみたいな味がするなぁ」とおっしゃっていたショコラもありました。私にはスイカとチョコレートを頭の中で繋げる言葉のレパートリーがありませんので、こういった一言だけもスゴイなあといつも思ってしまいます。
他にも、ヌガーや自家製アーモンドや自家製ヘーゼルナッツをチョコレートコーティングしたもの、オランジェットなどのショコラのお菓子がありました。こういったショコラが買えるのは、このショップだけでしたので、皆さん結構買いこまれていました。私もいくつか購入させていただきました。味は試食させていただいたヌガーを除いて、帰ってからのお楽しみです。
そして、モランさんジュニアに見送られ、私たちは工房を後にしました。
今回、モランさんの工房へ行かせていただき、種の時点からのカカオの選別や、焙炒具合のチェックなど、タブレットになってしまえば全く知ることのできない世界の裏側を垣間見ることができ大変勉強になったとともに、その部分をこの文章を読んで下さった皆さんにお伝えすることができてよかったです。
この工房見学を通して、一言に「モノづくり」といっても、一つの物が完成するまでにさまざまな人が関わって出来上がっていることに改めて気づかされました。また、目に見えている部分はほんの一部で、美味しいものの裏には絶え間ない努力があり、すべて美味しくなる理由があるのだと思いました。
小山シェフの傍にいさせていただき、仕事をしている中でも、日々感じていることですが、「素晴らしい物を生み出し続ける方々は、皆見えないところで努力を続けている」という事実を、遠いフランスの地でも体感し、自分自身を顧みて、もっともっともっと努力が必要だと改めて感じた研修でした。
このような貴重な機会を与えて下さった小山シェフ、ありがとうございます。
そして、快く出迎えて下さり、親切にしてくださったモランさんご一家に改めて感謝する共に、しっかりと返していけるように、これからも日々の仕事にますます一生懸命励みます。
最後までお読みいただきありがとうございました!