vol.10 レポーター里 井梓 Azusa Satoi
バウムクーヘン担当の里井梓です。
研修旅行も終盤に差し掛かった5月17日、オプショナルツアーで、ミシュラン二つ星レストラン「mugaritz(ムガリッツ)」にディナーに行きました。
メンバーは、大嶋さん・佐藤さん・薄永さん・原さん・横越谷さん・日高さん・武村さん・浅田さん・山中さんと私の10人です。
今回の旅行の前に見た、おすすめのお店がピックアップされた資料の中にあったこのレストランの料理の写真に目を奪われ、申し込みました。出発の時からとても楽しみにしていました。
私達が訪ねた翌日のランチには、小山シェフとマネージャー、スタッフ4名が行かれました。(その時の様子は、ショコラ担当の中川さんがレポートします。食事の話はもちろんのこと、盛りだくさんの内容になっているとのこと。お楽しみに!!)
さて、ディナー開始時刻は20時です。
お店に到着するとまず、目に飛び込んできたのは、天まで届きそうに育っている木です。
店内に入り、席に着いたのも束の間、厨房に案内していただきました。
スタッフの人数が多い事に驚きました。15名くらいはいらっしゃり、とても活気がありました。また、厨房内はとても広く、通路の幅も大きく取られていて、調理器具やバット、ボウルなどを持っている状態で、難なく行き交うことが出来るようになっているのではないかと感じました。作業台の上にはライトが設置され、広々としていて作業しやすそうでした。
厨房内を見学していると、シェフが「まず振ってみて」と何かを持って来てくださいました。
一人一つずつ、手に持って振ってみると、マラカスのようにシャカシャカという音が聞こえてきます。
食べてみるとピリっと辛く、中には細かく刻んだドライのベーコンと玉葱が入っていました。
食べ終えると、すかさずスタッフの方がナプキンを渡してくださいます。
さすがに配慮がとても行き届いています。
テーブルに戻ると、おしぼりが置かれました。
ここからしばらくは、手を使って食べる料理が続きます。
レストランといえば、フォークとナイフで食事するのが普通だと思っていたので、手を使って食べていく料理とは、どんな料理が出てくるんだろう?と、ワクワクがとまりませんでした!
まず、1品目。
芝生のようなものの上に、ラディッシュが載せられていました。
帰国してから調べたところ、この芝生のような植物は『もちあわ』という名前でした。
とても不思議な見た目です。
もちあわは、そのままに。とスタッフの方からの指示。…後で何かあるのかな?と思いつつ…
2品目は、石の上に絞り出された生地の上にココアがかかっています。
食感はマショマロのようで、口に入れるとシュワっとなくなりました。
下に敷かれた松の実が、より食感のメリハリを演出してくれて、面白かったです。
3品目
中の鶏肉は香ばしく、周りにまかれている生地は春巻きの皮のようにパリパリです。
下に敷かれた野菜のソースによって、後味はすっきりしていました。
4品目
旬のホワイトアスパラガスです。ビアリッツの市場等でもよく見かけました。
甘みのあるホワイトアスパラの風味を、ブラックオリーブのソースがキリっと締めてくれていました。切り込みがたくさん入っていて歯触りも良かったです。
5品目
弾力のあるもちもちとした生地の上には、お肉の皮がこんがりと焼き上げてあり、食感はキャラメルを食べているような粘りが少しありました。
まるで肉まんを食べてるような感覚に…!
6品目
「ダックネック」というメニュー名のこちらは、鴨の皮が使われた一品。
皮は香ばしく食感はバリッとしていて、中にハーブなど入っていました。
一緒に食べることで香ばしさが際立っていました。
7品目
白い器に、ソースが入って出てきました!
1品目に出てきた、もちあわをいただく時がやってきました!
濃厚なソースにシャキシャキのもちあわ。
今まで出逢ったことのない世界に引き込まれました。
そして、パンと一緒にテーブル上に置かれたものは…石?!
状況を把握できず、こっそりなめてみる先輩。甘いのかしょっぱいのかどっちにもとれる味がしたけれども、最終的には甘く感じたとのこと。
謎に包まれたまま次のお皿へ…。
8品目
まず、ジュエリーが入っているような黒い箱が置かれました。
ふたをあけると、砂糖でできたフォークが入っています。
その後に出されたお皿には、スモークされたソースに小さなお花がたくさん盛らたもの。
このフォークを少しずつ、噛み砕きながら食べていきました。後味が甘みに包まれていました。
9品目
ホタテです!!
周りにだけ熱が入っていて、中心の方は生の状態でした。
口に入れるととろけるような食感でした。
下のスープの中は、粒マスタードのような、酸味が効いた粒が入っていました。
10品目
各自、小さな巾着と、マンガが描かれた紙が配られました。
巾着の中には白い石のようなものが3つ入っています。
何が始まるだろうか?と思っていたら、なんと、ゲームの始まりです!!
「ベジタブルキャビア争奪戦」開始!!
ルールをご説明します。
左手と右手に、巾着の中に入っていた白い石のようなものを、0~3個の中で好きな個数決めて握ります。(例えば、左手に3個、右手に0個、というように。)
全員が数を決め、一斉に自分の好きな方の手を前に出します。私は、右手に2個。左手に1個。出したのは右手です。
全員で10人いたので石の数が0~30になります。一人ずつ、みんなが出した石の総数がいくつになるのか当てていきます。そしてみんなで一斉に手を開き、石をテーブルに置き、結果発表!数えてみると17個…winnerは武村さんです!
…が、みんなで分け合っておいしくいただきました。武村さん、ありがとうございます!
サクサクの生地の上には甘くて口どけの良いクリーム。ベジタブルキャビアと一緒に食べることにより、甘みと塩気のハーモニーが絶妙で美味しかったです。
11品目
茶碗蒸しのようなものの上にかぼちゃ味のスープがかかっています。スプーンを入れてみると、ジーマーミー豆腐のようなものが現れてカニが入っていました。海鮮の旨みが口の中、いっぱいに広がりました。
12品目
何かを潰す道具が出てきました。
乾燥したトウモロコシなどの食材がすり鉢のような器に入っていました。
みんな立ち上がり潰し始めます。できる限り、食材の形が無くなるまで!みんな必死です!
潰している最中にスタッフの方からキューブ型のゼラチンにぎっしりとお花が詰まったものが配られました。
そして、作業再開です!
…ようやく完成しました!!
食べてみると…、
食材の形がなくなるまでしっかりと混ぜておかないと美味しくないことに気が付きました。なぜなら、先輩から一口いただいたものと、私のものの食べ比べをしたからです。私のものは、ほんの一部ですが、食材の形が残った状態。先輩のものは、すべてが跡形もなく混ざり合っていた状態。どんなことであっても疎かにしておいてしまうと、最高の形で結果が出ないことを感じました。
13品目
和食でいうと、お魚の煮付け。皮が焼かれていて香ばしかったです!香ばしさが加わることで煮付けの印象ががらりとかわりました。
14品目
たこです。見た目通り、とてもシンプルです。
味付けもたこの味、そのものでした!素材のポテンシャルを邪魔しない調理方法も素晴らしいです。非常に柔らかくなるまで火が通してあり、盛り付け方もお皿に対して一直線に盛り付けられて、たこの存在感を強く感じました。
15品目
パイの蓋を取ってみるとそこにはロブスターが。クリームはえびの味がしました。
16品目
「へイク」という、タラに似た魚の上にかかっている白い粒の正体は、ミルクパールというもの。少し発酵したような味わいでした。
17品目
上に乗っているのは「ウール」だとおっしゃっていました。下にあるものは、子羊の腰肉をユーカリで燻されたもの。ユーカリで燻すことにより、臭みをなくす効果があるそうです。私にとっては、少しスモークが強く感じました。
ここからは、デザートです!!
1品目
ホエイ(乳清)のアイスです。上にはチーズがパウダー状になったものがかかっています。まずは別々に食べ、次に混ぜて食べてみると、混ぜて食べた方がチーズの濃厚さが増しました。
2品目。
レモンのアイスです。レモンの皮が器になっていて、レモンのアイスと一緒に口に運ぶと、渋さとレモンの爽やかな味わいがベストマッチでした!お腹もいっぱいになっていましたが、冷たさと爽やかさで何個でも食べられそうでした。
3品目。
「フラワーハンカチーフ」という名前です。
木の箱から出てきたのは、お花が入った求肥のようなものでした。
4品目
見た目は焼きドーナツ・・・?!近くでよく見てみるとショコラピストレされてあり、食べてみるとサクシュワッ!という食感。何個でも食べられそうです。笑。
5品目
先に配られたのがこちらです!何かを削るもののようです。
デザートがきました!!
見た目は天ぷらそのもの!揚げたてを食べてみると、中にはカスタードクリームが!!!
中からとろけて出てくるクリームは美味でした!
さあ、そしていよいよ、テーブルに置かれた白い石のようなものを使う時がきました!
先程配られた器具を使って削り、天ぷらの上にふりかけます。
白い石のようなものの正体は砂糖で、中に、シナモンやカルダモンなどのスパイスも入っていました。
これで最後のお皿になりました。
最後に温かい飲み物と茶菓子。
私は、ジャスミンティーをいただきました。
今回のレストランの食事は、自分の手で最後の仕上げをしていくものが何皿もあり、まさしく体験型レストランでした。本当に良い意味で固定概念を覆されました。
格式あるレストランというものは、座ったまま、次々に出てくる料理をいただくものだと思っていました。が、ムガリッツは、違いました。心からムガリッツに出会えて良かったとおもいます。10人と大人数で食事させて頂き、前半は食べるペースも早く、他のお客様もいらっしゃるのですが次々に料理が出てきました。スタッフの人数がたくさんいることによりお客様に合わせて料理の提供のタイミングを合わせていただけていることを感じました。
どんどん食べていきたい私にとっては、次々に料理が運ばれてきてとても嬉しかったです。
研修旅行を通して、その土地でしか味わえないものに出会い、舌、目で感じ、インプットする。
私が研修でレストランに行かせていただくのは、3回目です。
毎年感じることなのですが、普段では経験できないことをたくさん経験させていただき、とてもありがたいと実感します。
このような貴重な経験ができるのも小山シェフをはじめ、周りの先輩方、同僚、後輩の皆さんがいらっしゃるからです。本当にありがとうございます。
これからも、時間を作って勉強し、食べ物の事をもっともっと知りたい!そう改めて決意いたしました。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。