vol.2レポーター砂子 浩晃Hiroaki Sunago
井田さんに続き、私、小山ぷりん担当の砂子浩晃が5/14午後のレポートをさせていただきます。
ピラ砂丘を後にして、アルカションでランチを終えた私たちは、バスでアングレに向かいました。
アングレは、歴史ある京都のような街・バイヨンヌと、リゾート地・ビアリッツの間にある、別荘の多くある美しい街です。
バスは、赤く綺麗な建物の前に停まりました。
ティエリー・バマスさんのショップです。
小山シェフとも親交の深いバマスさんは、2011年にMOFを取得されたパティシエ、ショコラティエ、グラシエ(アイス職人)。欧州でチョコレート発祥の地とも言われる、ここバスク地方を拠点とされています。研修5日目にはデモンストレーションもしていただきました。
バマスさんにお店の中に案内していただくと、今まで見たことない程の長~いショーケースがありました!
ショーケースの手前から撮ると、写真に奥まで収まりきりません。
ショーケースには、バマスさんが得意とするアイスやプティガトー、マカロンなどがたくさん並んでいました。
バマスさんに厨房の中も案内していただきました。
厨房は決して広いとは言えないスペースで、アイスやプティガトー、ボンボンショコラなどほとんどのお菓子を4、5人で作っているので、効率をよくするためにオペレーションを工夫したりして作業をしているとおっしゃっていました。
また、日本の専門学生の方が研修中だったり、販売スタッフとしても日本人の方が働かれていました。
研修5日目にバマスさんのデモンストレーションを受けた際、手際の良さ、作り方の説明がとても分かりやすく印象的だったのですが、バマスさんの日頃の仕事がこのデモンストレーションにも現れていると感じました。
私達も小山シェフのお菓子教室の助手につかせていただく事があります。
その時にご指摘いただくポイントは、日常の仕事が、そのままお菓子教室の時に出ていることがほとんどです。例えば、普段周りを散らかしながら作業している人は、お菓子教室でも散らかしながら作業をしてしまいます。
私自身も何度かシェフの助手につかせていただいたことがありますが、やはりご指摘を受けた事は日頃の仕事にも当てはまるなと思ったことが何度もあります。助手に入り、気づかせていただいた事は日常の仕事に戻った時に気を付け、改善することによって、自分の成長に繋げることができます。私は時間が経つと薄れていってしまい、また同じ事を繰り返してしまったりもします。やはり常に意識し続けないと人は変われないと考えました。
話がちょっとそれてしまいました。
私には海外のケーキは「味が濃くて重い」というイメージがあったのですが、バマスさんのお菓子はどれも程よい甘さで、生地が硬すぎることもなく、どれも美味しかったです。
中でも驚いたのがこのお菓子。3層に分かれています。一番下の層はソルベで、真ん中はムース、一番上はソースの層です。
パッションマンゴーのソルベにキャラメルのムースとキャラメルソース、苺のソルベにパッションのムース、ソースの組み合わせなど全部で5種類ありました。私はそのうちの「苺のソルベのお菓子」をいただきました。
ソルベとムースが一緒になっていますが、食べてみるとちゃんとソルベ・ムース、それぞれのちょうど良い固さになっていてとても驚きました。
私は今までソルベはソルベ、ムースはムースでしか食べたことがありませんでした。このお菓子に出会うまで、2つを組み合わせることを考えもつきませんでしたので、さすがグラシエ部門においてもMOFの資格を持つ方だなと感激しました。
ラボ見学とショップでの買物を終え、1時間ほどでバマスさんのショップを後にし、本日宿泊予定のビアリッツに向かいました。
ビアリッツは、ナポレオン3世妃・ウージェニーが夏に過ごした19世紀以来、王侯貴族の保養地として人気を得、今でも大西洋岸最大のリゾート地として人気でカジノやおしゃれなブティックが立ち並ぶ街です。
夏には海水浴客で賑わい、サーファー憧れのビーチだとも聞きました。
バマスさんのショップから、バスで30分ほどでホテルに到着しました。
こちらが本日泊まる「ホテルウィンザービアリッツ」の入口です。
ホテルはとても綺麗な海が広がるビーチのそばに建っています。
残念ながら私の部屋は海とは反対側の景色しか見えませんでしたが(オーシャンビューの部屋のスタッフも数組居たそうで羨ましいです!)、ホテルの中はとても綺麗で、エアコンやWiFiも完備され、とても快適でした。
デザイナーズホテルなだけあって、階段にはアンディー・ウォーホルの作品が飾られていたり、ロビーにはデザインの書籍がたくさん置いてありました。アートが好きな方にはたまらないと思います。小山シェフもあちこち見て回られていました。
部屋に荷物を置き、夕食を食べるために出掛けました。
どこにしようかと迷いながらも、先輩方と一緒に坂を登りきった所にあったブラッスリー“Lavie en rose”のいい香りに誘われ、ここに決めました。
お店の人に英語でメニューを説明していただきました。日本語しかできない私は、先輩方の力をお借りして何とか注文することができました。
ここではサラミと、このお店のスペシャリテ「半分火を通したジュランソンのフォアグラ」を注文しました。
私はそれまであまりフォアグラを食べたことがなく、どちらかというと苦手な部類でしたが、ここのフォアグラは全然臭みが無く、食べやすくて美味しかったです。
フォアグラに添えられていたソースは、赤玉ねぎ、赤ワイン、砂糖、マーマーレードで炊いて作られたものです。マーマレードが入っているため、ほのかにオレンジの香りもあって爽やかです。フォアグラやパンなど色んな物にも合わせても、またそれだけで食べても美味しく、このソースのおかげもあってフォアグラがスペシャリテになったのでは?と思う程でした。
お酒も入り心地よくなった私たちは、さらにスポーツバーでビールを一杯飲み、また次のバーでみんなで白ワインを注文。
会話も弾んで楽しんでいると、お店の方から「君たち日本人だよね?サービスだよ」と、ブランデーをショットグラスでいただきました。
乾杯!そしておかわり!!さすがにブランデーをストレートで2杯はキツかったです。
酔いも回り、何時になっているのかわからなくなっていましたが、お店で飲んでいたスペインの方とも意気投合しました。ナルトやドラゴンボール、ワンピース、ストリートファイターなど良くご存知で、ジェスチャーも交えて大盛り上がり。
日本の漫画やゲームの文化はヨーロッパにもとても浸透しているのだなと実感しました。
その後の記憶は無く、いつのまにか私はベットの上で寝ておりました・・・・。
目覚めた時は悪夢のような二日酔いで動けず、多くの先輩方にご心配をおかけてしまいました。本当に、お酒はほどほどにしないといけません。
日本の居酒屋では飲んでいても隣に人に話しかける事はほとんどしないのではないかと思います。しかし、今回の研修でも、去年の研修でも、海外の方は言葉が通じなくても気さくに話しかけてくださり、その場は宴会みたいに盛り上がります。
研修中に訪れたレストランの方は英語や黒板などを使って一生懸命に伝えようとしてくださいましたし、それでもわからない場合は画像まで探してくださいました。
小山シェフもいつも、伝えても伝わらなかったらその人と同じのレベルの高さで、分かってもらえるまでわかりやすく伝えるとおっしゃっています。
エスコヤマにも海外からのお客様がたくさん来てくださいます。
店内で何かに迷われてる時に、もっと私の方から積極的にお声をかけて、力になれたらいいなと思いますが、日本語しか喋れなかったり、何もお手伝い出来ずに終わってしまうことがあります。私も自分から行動することができるようになり、自身の成長にも繋げられるよう、帰国したら英語やフランス語を勉強しよう!と決意しました。
小山シェフ、本当に貴重な体験をさせていただき、ありがとうございます。
こうして研修に参加させていただけている環境の素晴らしさにただただ甘えるのではなく、今回の研修で学んだ事・感じた事を無駄にしないように、普段の自分の行動にしっかりと落とし込んでいきます!